大麻販売を合法化する実証実験は2019年に上院で承認されていたが、実施は再三先送りされてきた。今年2月に年内の開始が発表されていて、政府がこのほど、12月15日に開始することを正式に決めた。
「wietexperiment(草実験)」と名づけられた実証実験には、まずブレダとティルブルフの2都市が参加する予定だ。両自治体によって選ばれたコーヒーショップは当初は、合法的に栽培された大麻製品だけでなく、これまで容認されてきた大麻製品の販売も認められる。
誤解されがちだが、オランダで大麻は合法化されていない。ただ、政府は1970年代以来、大麻のような「ソフト・ドラッグ」について少量の所持や栽培を容認する政策をとってきた。この「寛容政策」によって、大麻販売業者は訴追の心配なく事業を営めることになり、国内各地にコーヒーショップが続々とできていった。
実証実験の初期段階には、ブレダとティルブルフのコーヒーショップに公認の大麻栽培業者2社から大麻が供給される。各コーヒーショップは最初の6週間は、既存の違法業者から大麻を調達することが認められる。違法業者は、合法的な業者が新たに参入してくるのにともない撤退していくことになる。
4年間の実証実験が本格始動するころには、国内の10都市と首都アムステルダムのオースト区が参加する見通しとなっている。
立ち上げ期間の経過はモニターされ、治安や秩序に重大な懸念がある場合、実験は早期に打ち切られる可能性もある。評価は参加都市すべてで共有され、本番期間への移行がより円滑に進むよう手続きや仕組みの改善が図られる。
オランダでは今年、アムステルダムが観光客の迷惑行為を防ぐために、公共スペースでの大麻の使用に一定の制約を課している。
欧州で成人向け大麻の販売を合法化する実証実験を行うのは、スイスに続いて2カ国目。欧州連合(EU)加盟国ではオランダが初となる。スイスは昨年、メリットとデメリットを調べるため実験を開始し、現在、数都市で続けられている。