宇宙

2023.10.03 14:00

65光年以内の惑星に「生命が存在」するはず 最新版ドレイクの方程式が示唆

惑星を持つ恒星として有名なトラピスト1恒星系のイラスト。数理的研究によれば、太陽から326光年の距離の範囲内に、太陽に似た恒星を公転する、地球に似た太陽系外惑星が1万1000個存在する(NASA/JPL-Caltech)

生命存在指標を探す

この最後の主張は、岩石質の系外惑星全体のわずか1%で、地球の生命誕生と同時期(つまり、生命存在可能な状態になってから10億年後)に微生物が発生したとする仮定に基づいている。「単純な生命体が大量に存在する場合は、古くからの存在でもあり、現在に生命が存在する惑星全体の約3分の1で、80億年以上前に発生したと考えられる」と、マドーは論文に記している。「地球類似惑星はより古いほど、環境を改変し、検出可能な酸素を含む生命存在指標を生成する能力を持つ十分に複雑な生命体を発達させている可能性が高くなる」
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生命存在指標は、惑星の大気に含まれる微量の気体で、表層に生命体が存在することの手がかりを与える可能性がある。だが、太陽類似恒星を公転する岩石惑星1万個に1個にのみ生命が発生するとすれば、地球は太陽近傍にある唯一の生命を宿す惑星になるとも、マドーは指摘している。

生命の発生

地球では生命存在可能になってから10億年以内に生命が発生したため、ケプラー望遠鏡が恒星周囲のハビタブルゾーン内で発見した多くの岩石惑星にも同じことが当てはまるかもしれないと、論文は主張している。ハビタブルゾーンが「ゴルディロックスゾーン」と呼ばれることもあるのは、中心星から適度な距離にあり、気温が暑すぎず寒すぎず、表層に水が液体で存在する可能性のある軌道のことを指すからだ。地球の生命誕生とケプラー望遠鏡の観測結果から得られる知識は「過去に他の天体で生命が発生した可能性が(もしあるとすれば)どのくらいの頻度かという疑問をもたらす」と、マドーは記し、この疑問に答えるには、次の3点について知る必要があると主張している。

・生命が存在できる可能性のある岩石質系外惑星がいくつあるか
・各系外惑星の気候はどのようなものか
・それぞれの系外惑星の大気中に手がかりとなる化学的なバイオマーカー(生物指標化合物)があるかどうか

現在稼働中および今後稼働予定の宇宙望遠鏡の多くは、太陽系外惑星科学を中心に据えているものの、人類がこの3つの作業を終わらせるのは非現実的だと、マドーは述べている。「個々の恒星系に関する包括的なデータを収集するのは、不可能ではないにしても現実的ではないため、フォローアップ(追跡)観測の対象の優先順位を決めるのに、統計的な観点が必要になる」と、マドーは記している。
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forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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