海をプカプカ泳いで発電 環境負荷ゼロのアヒル発電

プレスリリースより

波の力で推進し、波の力で発電するアヒル型の発電装置の開発が進められている。波のある海の上なら場所を選ばず、24時間電気が作れる特許技術を使ったこのシステムは、何も傷つけないというのが最大のポイント。兵庫県を拠点とする「コネなし、経験なし、マネーなし」というスタートアップ、イエローダックが開発している。

アヒル発電は、アヒル型の浮かぶ発電装置。正式名称は「Wave-DAC」(ウェーブダック)という。DACとは、大気中の二酸化炭素を直接回収するDirect Air Captureの略。つまり、DACとアヒルのDuckをかけている。その名のとおり、アヒル発電では二酸化炭素の回収も同時に行うことになっている。
実験中の発電装置

実験中の発電装置


沿岸に固定する波力発電と異なり、波の力で大海原を進みながら発電し、水素に変換して持ち帰る仕組みだ。波による本体の傾きの変化を運動エネルギーとして利用し発電するので特許技術により、風がなくても日が陰っても関係なく発電する。波があれば沿岸であろうが外洋だろうが、どこでも発電するので、土地を切り崩して建物を建てたり、騒音や有害物質の心配も、沿岸漁業への影響もきわめて少ない。もちろん、コストも大幅に安い。
HeCNOS AWARDのプレゼンテーションの様子

現在は高さ2メートルの実験機を使って海での基礎研究を行っている。これまでに、高さ30センチメートルの波でも二酸化炭素の回収と水素の生成が可能であることが確認されている。今後は検証を重ね、効率と安定性を高めた後に商用化を目指すという。イエローダックはこのほど、大阪産業局主催の「HeCNOS AWARD」を受賞し、大阪万博出展候補となった。


プレスリリース

文 = 金井哲夫

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