英国で淋病が急増 診断数が過去最多に

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英国国内で性感染症の淋病が拡大しているとして、同国政府が注意を呼びかけている。

英保健安全保障庁(UKHSA)によれば、昨年の淋病診断件数は前年から50%以上増え、過去最多の8万2500件余りとなった。同庁は、新学期を迎える大学生を含む一般市民に対し、性交渉の際にはコンドームを使用するよう呼びかけている。

英国では多くの場所で無料の性病検査が利用可能になっており、感染の急増は検査件数の増加が一因となっている可能性もある。

性感染症の中には、淋病のように症状がなく何年も気づかない場合があるものもある。そのため、定期的な検査の推進や、検査体制の改善の取り組みが、近年の診断件数増加につながっている可能性がある。

だが当局は、前年比の増加幅が大きいことから、感染が拡大しているとみている。

淋病とは?

淋病は、淋菌と呼ばれる細菌への感染によって起こる性感染症だ。

淋菌は、精液や膣分泌液を介して人から人へと感染する。子宮頸部、尿道、直腸、咽頭などに存在し、腟性交のほか、口腔性交(オーラルセックス)や肛門性交(アナルセックス)でも感染する。また、分娩中に赤ちゃんに感染することもあるため、妊婦は必要に応じて検査と治療を受けることが推奨される。

性の健康を支援する英慈善団体のBrook(ブルック)によれば、淋病はキスや抱擁、便座、プールを通じては伝染しない。米疾病対策センター(CDC)によると、症状は女性の膀胱炎に似ていることもあり、排尿時に焼けるような感覚、膣から分泌されるおりものの異常、生理がないときの出血などがある。

感染した女性の約半数は無症状で、症状があっても軽いことが多い。しかし、男女ともに不妊につながる合併症を引き起こす可能性があるため、検査を受けることが重要となる。

男性も、尿道からの異常な分泌物や、排尿時の灼熱感といった症状が出る場合がある。あまり一般的ではないが、睾丸が腫れたり敏感になったりすることもある。

直腸に感染した場合は、肛門の周囲に分泌物やかゆみ、出血、痛みなどの症状が現れる。

治療しなければ、体の他の部位にも影響が出て、不妊症を引き起こす恐れがある。通常は抗生物質で治療できるが、当局によると、最近は既存の薬に対する耐性を持つ淋菌が広まりつつあるという。

英保健安全保障庁の性感染症部門を率いるケイティ・シンカ博士は、性感染症は「深刻な結果をもたらす可能性がある」ものの「感染のリスクを減らすためにできる簡単なステップがある」と説明。コンドームは、淋病などの性感染症に対する「最良の防御」となると指摘した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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