健康

2023.01.24 12:30

薬剤耐性の高い淋菌、米国で報告 性感染症の患者がコロナ禍で急増

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マサチューセッツ州公衆衛生省(MDPH)は1月19日、州内で確認された淋菌の感染者のうち2人から、5種類の抗生物質に耐性を持つ(またはそれらへの感受性を低下させたとみられる)新たな株を検出したと発表した。

同州で報告された2人の感染者の間の関連性は確認されていないが、米疾病対策センター(CDC)によると、いずれも治療には抗生物質のセフトリアキソンが使用され、最終的には回復したという。淋菌は薬剤への耐性を持ちやすい菌として知られ、保健当局はかなり以前から、薬剤に耐性を持つ淋菌がまた新たに出現する可能性は高いと警告していた。

CDCによれば、2020年に米国内で報告された感染者のうち約半数が、少なくとも1種類の抗生物質に対し、耐性を持っていたという。CDCは2013年、薬剤耐性の脅威が最も差し迫っている3種類の細菌の1つに、淋菌を挙げている。

また、MDPHによると、新たに感染が確認された淋菌の株は、英国やアジア太平洋地域の各国ですでに検出されているもの。だが、米国では今回が初の感染例の報告だという。

米国で2番目に多い性感染症

淋病は淋菌への感染によって引き起こされる性感染症(STI)で、米国ではクラミジアに次いで2番目に多く報告されている。性的な接触以外にも、新生児が母親から産道感染することがある。

女性の場合は感染してもほとんどが無症状で、あったとしても軽い症状のことが大半だ。そのため、膣や膀胱の別の感染症と間違われることが多い。感染初期の症状には、おりものの増加、生理時以外の膣出血、排尿痛などがある。

男性も無症状の場合が多い。現れる症状には、黄白色から緑がかった分泌物(感染から1~14日間にみられる)や、排尿痛、睾丸・精巣の痛みなどがある。また、直腸炎が起きれば、男女ともにかゆみ、痛み、排便痛、分泌物、出血などが伴う。喉に感染し、痛みが出る場合もある。

CDCは、性的な接触がある人は年1回検査を受けること、パートナーが複数の人は3~6カ月に1回、検査を受けることを推奨している。

淋病の危険性

淋病にかかった女性は、卵管や子宮に感染が広がり、合併症として骨盤内炎症性疾患(PID)を起こす可能性がある。PIDは慢性的な下腹部の痛みや内出血を伴い、不妊や子宮外妊娠のリスクが高まる。

また、妊婦が淋菌に感染した場合は、新生児の関節炎や失明につながる危険がある。血液に炎症が起きれば、命にかかわる場合もある。男性は感染によって精巣上体炎が起こり、それが不妊の原因になる可能性がある。

淋病を治療せずに放置すると、感染は血液中に広がり、播種性淋菌感染症を引き起こす。その主な症状には、敗血症性関節炎、髄膜炎、皮膚病変、心内膜炎などがある。この状態に至ると、命の危険もある。また、HIVに感染するリスクも高まることがわかっている。

新型コロナウイルスのパンデミックにより、性行為の機会が増える一方、定期検診を受ける人が減少したことが、性感染症の患者の増加につながっている。CDCによると、米国では梅毒の感染者が2019~2021年におよそ70%増加。クラミジア感染症と淋病の報告も増加しており、これら3つのSTIは、2021年だけで約250万件報告されている。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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