米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えたところによると、同社は現在の米政府の購入プログラムが終了した後、接種1回当たりのワクチンの価格を110〜130ドル(約1万4000~1万7000円)に値上げしたい考え。
こうした報道を受け、バーニー・サンダース上院議員(無所属)はモデルナ宛ての公開書簡を通じて、富豪でもある同社のステファン・バンセルCEOらの姿勢に疑問を突き付けている。
同議員は、「新たな価格では、何百万もの人々がワクチンを接種できなくなる可能性がある」と警告。CEOに再考を求めると同時に、値上げは「言語道断」だと批判している。
サンダース議員はまた、ワクチンの大幅な値上げは、税金で賄われている(公的医療保険制度の)メディケア(高齢者・身体障害者向け)とメディケイド(低所得者向け)に「非常に大きな負担を強いることになる」と指摘。
そのほか、このワクチンが政府機関、つまり税金で運営されている米国立衛生研究所(NIH)の研究者らと共同で開発されたものであることを挙げ、「それを考えると、あなたの決断はとりわけ不愉快に感じられる」と強調している。
一方、モデルナが2021年に計上した利益は、約122億ドル。昨年1~9月の利益は69億ドルだ。つまり、同社は資金繰りに困っているわけではないとみられる。
サンダース議員は書簡で、モデルナの幹部たちの保有資産にも言及。バンセルCEOは推定61億ドル、共同創業者であるヌーバー・アフェヤン会長とロバート・ランガーはそれぞれ約21億ドル、22億ドル、そして同社への初期の投資家であるティモシー・スプリンガーは約26億ドルだと明らかにしている。
幹部たちがこれほどの富を築いた、あるいは保有していた資産を大幅に増やしたのは、「米国の納税者たちのおかげだ」として、議員はこう訴えている。
「モデルナに税金が投じられたのは、米国の人々の健康と生命を守るためであり、一握りの企業幹部や投資家を億万長者にするためではない」
そのほか同議員はツイッターでも、ポリオワクチンを開発しながら特許を取得しなかったジョナス・ソーク医師とバンセルCEOらを比較。「強欲さを捨てろ」と要求している。