サイエンス

2023.09.23 13:30

2024年ブレイクスルー賞、基礎物理学、生命科学、数学部門受賞者の業績

ヴァン=ゴアは、嚢胞性線維症に関する研究とこれまでに患者を助けることができた成果に関して満足してはいるが、彼と同僚たちはこの病気への取り組みを終えてはいないと語る。

「我々がやるべきことは、まだたくさんある」とヴァン=ゴアはいう。「我々は、トリカフタよりもさらに優れた嚢胞性線維症治療薬の開発に取り組んでいる。最終的には、すべての嚢胞性線維症患者が治療を受けられるようにしたい」

生命科学部門、他の受賞者

生命科学部門で受賞した研究者は、バーテックスチームの他にも2組いる。ペンシルベニア大学のカール・ジューンと、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのミシェル・サドレインは、CAR-T細胞による免疫療法を白血病に対して初めて使用し、この療法を前進させた。

この種の治療法では、患者自身の免疫細胞を採取し、遺伝子操作して、がん細胞を標的として攻撃させるようにする。この技術はがん治療に革命をもたらし、CAR-T細胞は現在、さまざまながんに応用され、感染症への応用も検討されている。

もう1組の生命科学ブレイクスルー賞は、独テュービンゲン大学のトーマス・ガッサーと、NIH傘下の研究所に所属するエレン・シドランスキー、アンドリュー・シングルトンに授与された。彼らは、パーキンソン病の発症につながるヒトゲノムの危険因子の解明に貢献した。さらに彼らの研究は、パーキンソン病は単一の原因ではなく、がんと同様に、さまざまな原因で発症する疾患群であると考えた方がよいという、パーキンソン病に関する現在の理解を深めるのに役立った。

数学部門のブレイクスルー賞

コロンビア大学の数学者サイモン・ブレンドルは、微分幾何学の発見に対して受賞した。ブレンドルは特に、リッチフロー(Ricci flow)と呼ばれる概念に関わる数学的問題に関して重要な研究を行ってきた。

この概念に関して発見された数学は、特にコンピュータビジョンや医療用画像処理など、多くの分野に実用的に応用されている。

基礎物理学部門のブレイクスルー賞

オックスフォード大学のジョン・カーディと、ニューヨーク州立大学ストーニー・ブルック校のアレクサンダー・ザモロドチコフは、基礎物理学における発見で受賞した。

この2人の科学者は、場の量子論に重点を置いており、その研究は材料科学に実用的に応用されている。例えばカーディは、ある物質が絶対零度に近づくにつれて超伝導になる時期を予測するのに役立つ数式を考案した。

forbes.com 原文

翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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