確かな技術力にプラスされたデザインの力
「東京のデザイン会社・TENTさんとのコラボのきっかけは、両社をよく知る知り合いの社長に“2人が組んだら絶対面白いものが出来るからやってみて!”と声を掛けてもらったことでした」
冒頭の声掛けは、タッグを組むデザイナーを探していた藤田さんにとっては渡りに舟。「失敗してもいいからチャレンジしてみよう」。フライパン物語のヒットで出た利益をすべて注ぎ込み、藤田さんは新商品の開発に着手した。
デザイン会社にオーダーしたのは「取っ手が取れる鉄フライパン」という1点だけ。形状やコンセプトは全てデザイナーに一任した。その後、デザイン会社から提案されてきたのは、シンプルな鉄のお皿。
「びっくりしました。いや僕お皿は頼んでないですよって言ったら、3Dプリンタでつくった取っ手が出てきたんです。これをつけたらお皿がフライパンになりますと言われた瞬間、めちゃめちゃおもろいやん! やる!と即決しました」



満を持しての発売にあたって、支払ったPR費用は外部用プレスリリース1回分の3万円のみ。それでも国内外からいろんなメディアの取材や問い合わせが相次ぎ、初回ロットの300個は即完売した。
異業種とのコラボで認知の拡大へ

藤田金属の看板商品として売れ続けているフライパン ジュウは、2021年、世界三大デザイン賞の一つ「iFデザイン賞」と「レッド・ドット・デザイン賞」を獲得した。
現在の工場兼ショールームがオープンしたのも、同じく2021年。一般の方々にものづくりに興味を持ってもらいたいという想いから、工場内を公開するオープンファクトリーにこだわった。工場2階にあるショップスペースからは、工場全体の様子を眺められるようになっている。


だが、世間的には会社名の認知までには至っていないのが課題だという藤田さん。「鍋を見ただけで藤田金属と分かる、というところまでたどり着くのが目標です」