サイエンス

2023.09.13 15:00

米国防総省、UFOとUAPに関するウェブサイトを開設

サイトには「1945年以降、UAPに関する米国政府の活動について直接知識を持つ政府職員、軍人、請負業者からの報告を受け付ける」とあり、その結果は近日公開される。その報告に際して軍関係者は「未確認の異常現象の報告と物質的処分」という規定に従い、指揮または任務を通じて報告する必要があること、さらには民間パイロットからも情報を募り「UAP を目撃した場合はただちに航空交通管制に報告することが推奨される」としている。

AAROが公開したウェブサイトのトップページ(AARO)AAROが公開したウェブサイトのトップページ(AARO)

AAROが保存する膨大なUAPレポート

かつてペンタゴンでは「先端航空宇宙脅威識別プログラム(AATIP:Advanced Aerospace Threat Identification Program)」と呼ばれるUAPの調査計画が遂行されていた。同プログラムは2007年から実施されたが、2012年には終了。しかし、その後も同様なプログラムが米海軍内で秘密裏に続けられていた。

2017年、クリストファー・メロン元国防次官補によって「ペンタゴンUFOビデオ」がリークされ、ニューヨーク・タイムズなどによって大々的に報じられた。今回、全領域異常対策室(AARO)が開設したウェブサイトにアップされている動画も、主にはこのときリークされた映像だ。

2020年6月になると、米国内をにぎわせるUAP情報を、国防総省が隠蔽していると考えた米上院議員がその情報公開を求める。これを契機としてUAP情報が国防総省から正式に公表されるようになり、また同年8月には「UAP対策本部」(UAPTF:Unidentified Aerial Phenomena Task Force)が設立された。

同組織が設立した背景には米中対立も影響している。米国防総省は、米国空域へ無許可で侵入する飛行物体が、中国が開発する新型無人兵器、自律型AI兵器である可能性を深刻に受け止め、UAPの報告について精査する必要に迫られたのだ。その結果、UAP対策本部は2021年6月に暫定報告書を発表。その内容は広く報道された。

また、これらに先立って2019年には、トランプ元大統領が国防権限法に署名したことにより、米宇宙軍も創設されている。

今回のウェブサイトを立ち上げた全領域異常対策室(AARO)は、このUAP対策本部から組織と業務を引き継ぎ、2022年7月に発足した組織である。であれば、すでにこの組織には膨大な報告や映像が蓄積されているはずだ。

かつてパイロットはUFOの目撃を報告すると、精神に異常をきたしたと判断され、地上勤務に移されたと言われている。しかし、UAP情報がオープンになったいま、その目撃情報は今後さらに増加するに違いない。

編集=安井克至

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