気候・環境

2023.09.11 17:30

パナマ運河、干ばつで大渋滞 前例のない危機にどう立ち向かうか

督 あかり
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現在、気候変動の影響に負けない強靭なサプライチェーンを作るための取り組みが、世界中で進められています。

例えば、国際民間企業センター(Center for International Private Enterprise) 、国際商業会議所(International Chamber of Commerce)、世界経済フォーラム(World Economic Forum)によって設立された貿易円滑化のためのグローバル・アライアンス(Global Alliance for Trade Facilitation)は、WTOの貿易円滑化協定(TFA) の実施に向けたグローバルな取り組みを支援しています。

TFAは災害救援を明確に取り上げてはいませんが、特に透明性、協調的な国境管理、リスクに基づく戦略、到着前処理、生鮮品の優先的取り扱いといった条項は、効果的に実践されれば、気候関連の災害救援に大きく貢献する可能性を秘めていると専門家は指摘します。

「貿易促進とTFAの実施は、プロセスを合理化し、透明性を向上させ、効率的な物品の移動を支援することで、気候変動へのレジリエンス(強靭性)を強化するための重要な手段となり、より良い災害対応と復旧に貢献します」と、アライアンスのディレクターであるフィリップ・イスラー氏は述べています。

例えばマダガスカルでは、地元当局がアライアンスの支援を受けて、救援物資の通関と調整のための新たな標準作業手順書(SOP)を作成しました。アライアンスによると、その直後、2022年2月にマダガスカルを襲った熱帯サイクロン「バツィライ」による被害が発生した際に、新しいSOPが救援活動の中で重要な役割を果たしました。

さらに、アライアンスは年次報告書2022の中で、「洪水、干ばつ、伝染病など、異常気象による災害は、世界の最貧国の一部で憂慮すべき頻度で発生して人々を苦しめており、気候変動モデルは、このような事態が今後ますます増えていくばかりだということを示唆している」と警告しています。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Spencer Feingold, Digital Editor, World Economic Forum

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