MT-LB-2M-3の安定性の欠如は、旧ソ連のZSU-23-4自走式高射砲(1960年代半ばに登場した4連装23ミリ機関砲搭載の装軌式防空車両)でさえ、コンピュータ制御の「キネマティック・ロール回路」と呼ばれる装置で強化された液圧安定が施されていたのを考えるととりわけ痛々しい。ついでに言えば、ZSU-23-4にしてもとくに射撃時の安定性で知られる車両というわけでもない。
今春、ロシア軍の海軍歩兵旅団がMT-LB-2M-3の生産を推進したのは、広く予想されていたウクライナ軍による南部での反転攻勢に対する備えの一環だったとみられる。
実際、塹壕を掘る掘削機のそばで、ウクライナ軍のドローン(無人機)の攻撃から守っているらしいMT-LB-2M-3の姿が目撃されていた。とはいえ、それ以外、このフランケンシュタイン車両がロシア軍の防衛作戦に有意義な貢献をした形跡はほとんど見当たらない。
それもそのはず。MT-LB-2M-3は、乗員が1発ぐらいまぐれ当たりするのを願って、敵の部隊がいる大ざっぱな方向へ砲弾を浴びせることくらいしかできないのだ。
(forbes.com 原文)