欧州

2023.09.08 09:30

牽引車に艦載砲つけたロシア軍改造兵器、弾を撃つとぶるぶる震える

ロシアの軍事ウォッチャーたちはこの春、MT-LB-2M-7を初めて目にした時、この問題を察していた。「2M-3の液圧装置は放棄され、完全な手動誘導に変更されたようだ。これは労力を要しない最も簡単な解決策ではあるが、射撃の有効性に影響が出ることが予想される」ロシア軍がウクライナで使用している車両をつぶさに観察しているエドワード・ペロフは、自身のブログにそう書いている

MT-LB-2M-3の安定性の欠如は、旧ソ連のZSU-23-4自走式高射砲(1960年代半ばに登場した4連装23ミリ機関砲搭載の装軌式防空車両)でさえ、コンピュータ制御の「キネマティック・ロール回路」と呼ばれる装置で強化された液圧安定が施されていたのを考えるととりわけ痛々しい。ついでに言えば、ZSU-23-4にしてもとくに射撃時の安定性で知られる車両というわけでもない。

今春、ロシア軍の海軍歩兵旅団がMT-LB-2M-3の生産を推進したのは、広く予想されていたウクライナ軍による南部での反転攻勢に対する備えの一環だったとみられる。

実際、塹壕を掘る掘削機のそばで、ウクライナ軍のドローン(無人機)の攻撃から守っているらしいMT-LB-2M-3の姿が目撃されていた。とはいえ、それ以外、このフランケンシュタイン車両がロシア軍の防衛作戦に有意義な貢献をした形跡はほとんど見当たらない。

それもそのはず。MT-LB-2M-3は、乗員が1発ぐらいまぐれ当たりするのを願って、敵の部隊がいる大ざっぱな方向へ砲弾を浴びせることくらいしかできないのだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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