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2023.09.07 12:30

寄付にレバレッジをかける!「政策のベンチャーキャピタル」Policy Fundとは

(左から)高橋飛翔・山本正喜・伊藤和真

しかし、全ての非営利団体が同じような動きを、自力でできるわけではない。小規模認可保育の政策化のような革新的な取り組みも、フローレンスがサービス提供で主な収益を得る事業型NPOで、収益も組織規模も大きいからできる、という側面もあるだろう。現場での問題解決に追われている、小さな非営利団体も少なくない。だが、そうした現場にこそ、政策化の種はある。
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そこで、「民主主義の黒子」を自称するPoliPoliの出番だ。Policy Fundでは、実証実験の場所(自治体)、実証実験の資金(民間リーダーの基金)、政策化のノウハウ(政策立案・政策提言の伴走)等、政策化に必須となるリソースを提供する。

現場を熟知し、支援実績を積み重ねた非営利団体でも「広報力がなく、寄付集めが不得意」「自治体との連携の経験がない」「政策提言のやり方が分からない」といった不得意な領域は当然ある。Policy Fundは各団体の不足を補い、資金から政策提言まで、一気通貫で支援する。フローレンスも、Policy Fundにパートナーとして参画。共に次世代の政策起業家を支援する。

Policy Fundでの支援先は、非営利団体には限らない。社会の利益のため「社会を動かすルールづくり」にそのプロセスから参加するルールメイカーが対象で、団体・個人が広く対象となる。
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支援者には、スタートアップとソーシャルの両セクターからリーダーが集った。協力企業には、CAMPFIRE、フローレンス。アドバイザーは、Public Meets Innovation代表理事・石山アンジュ 、アカツキ共同創業者・塩田元規、新公益連盟代表理事・白井智子、Speee創業者/Soil 代表理事・久田 哲史、チェンジホールディングス社長・福留大士、須田仁之らが務める。VCのように寄付先へのハンズオン支援を行うという。

基金による寄付は「VCからの資金調達」、実証実験は「アジャイル開発」、素早い検証と政策化は「リーンスタートアップ」──まるでスタートアップのように、政策化のプロセスを小さく、早く、進めていく構想だ。

起業家が変えたい「日本の寄付文化」

では、「寄付の出し手」の起業家は、Policy Fundをどう考えているのか。アドバイザーとして参画するChatwork代表取締役CEOの山本正喜、立ち上げにあたり、最初の寄付を決めたナイル代表取締役社長の高橋 飛翔に、PoliPoli伊藤と共に話を聞いた。

Chatwork代表取締役CEO 山本正喜

電気通信大学情報工学科卒業。大学在学中に兄弟でEC studio(現Chatwork株式会社) を2000年に創業。以来、技術を統括するCTOとして多数のサービス開発に携わり、2011年3月にクラウド型ビジネスチャット「Chatwork」を企画しリリース。エンジニアとして開発を主導しながら、事業責任者として会社の主力事業へと育て上げる。2018年6月、代表取締役CEOに就任。第45回「経済界大賞」にて「ベンチャー経営者賞」を受賞。Policy Fund内の最初の寄付基金として、「山本正喜ポリシー基金」の設立を発表。

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文=ForbesJAPAN編集部 写真=赤松洋太(PoliPoli提供)

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