Chatwork山本:「ルールメイキングで、社会を変える」を、スタートアップでやっている、そして、実際に政策を変えた実績があるところです。社会のルールは、大企業や経済団体による働きかけで動いていると思っていましたが、そこへスタートアップ的にアプローチしているのが、とても面白い。すごく若くて優秀なチームが、いろんな人に協力を求めながら、政治的な色もつかない形で、明るく爽やかに政治の中に切り込んでいっているのが、すごくかっこいいと思っています。
ナイル高橋: Policy Fundは「誰がやるか」「何をやるか」の両方で、筋がいい企画だと思います。テーマごとに寄付者を募り、そのテーマに取り組む政策起業家への資金を渡し、実証実験をしてもらう。そこで生まれた実績を持って、国政に対してアプローチしていく。この手順は、本当に社会を変えるという意味で可能性があると思いますし、政策化の経験とノウハウを持つPoliPoliが手がけることに、価値があります。
さらに、Policy Fundは地方自治とも相性がとても良く、そこにも大きな可能性があると思っています。国政では数の論理で潰されてしまうものでも、地方自治なら、首長が良いと思えば、ある程度は変えられます。政策起業家が、ある自治体で出した実証実験の結果を、他自治体も次々と採用していく。そうした連鎖が、国政へとフィードバックされる流れが生まれていくのを期待しています。
起業家たちが変える「日本の寄付文化」
──皆さんがPolicy Fundで変えたいものは、何なのでしょうか。PoliPoli伊藤:日本の寄付文化を変えていきたいと思っています。社会問題の世界的なトレンドとして、政府が全てを解決していく時代ではなくなってきました。政治・行政のリソースには限界があり、民間の企業やNPOが、むしろ課題に精通して、良い解決策を持っています。当たり前のように、政府と民間が一緒になって課題解決をする時代を迎えています。これは、不可逆な流れです。NPOのようなソーシャルセクターが盛り上がっているのも、時代の必然なんです。なので、論点は「いつ政治と行政が、民間と連携を始めるのか」のみ。そうした時代の必然的な流れの一つとしてPolicy Fundがあると、整理しています。
そこで問題になるのが、政府と連携するソーシャルセクターの活動資金。日本では、その資金源となる寄付が、全く足りていません。2020年時点で、日本の個人寄付総額は、1兆2126億円。その半分以上の6725億円をふるさと納税が占めています。一方で、米国は34兆5948億円です。海外では分厚い寄付文化に支えられた、フィランソロピー活動が根付いている。PoliPoliは日本でもフィランソロピーを浸透させたいです。そして、フィランソロピーの黒子であるために、Policy Fundは、寄付文化を下支えする仕組みにしていきます。