そのDuolingo創業者兼CEO、ルイス・フォン・アーン氏による講演会が8月28日、都内、東京大学情報学環・福武ホールで行われた。
アーン氏は元カーネギーメロン大学計算機科学部所属 准教授であり、コンピューター上の操作が人の手によるものであることを認証(「信号機をすべて選べ」「変形された文字を読め」など)するシステム「CAPTCHA 」「reCAPTCHA」の開発者でもある。また、マッカーサー・フェローシップ(別名「天才賞」)など多くの賞を受賞、出身地グアテマラのための非営利団体「ルイス・フォン・アン財団」も持つ人物である。
以下、氏の講演の内容の一部を紹介する(講義の後半はQ&A形式で行われたが、ここでは質問は省略し、氏の回答を中心に構成する)。
「もっとも貧しい」人と「もっとも富める」人が使うアプリ
「教育は平等を生む」という楽観主義者もいますが、私が生まれた非常に貧しい国、グアテマラのような環境では、貧しい人は決していい教育を受けられないので、貧しいままです。そこで私は、平等な教育へのアクセス手段としては、「無料の教育」を提供する方法をローンチすることが一番と考え、Duolingoを創業しました。
たとえばですが、同じ「ウエイター」という職業でも、英語を学べばホテルでの仕事を得られ、より高い給料がもらえます。お金を得るためにはまず、英語が重要だと考えたのです。
私の母国語はスペイン語、Duolingoの共同創業者の母国語はドイツ語です。なので、Duolingoではまずスペイン語とドイツ語のコースを作ることになりましたが、語学学習はとにかく「退屈」です。それだけに、外国語を学ぶ上ではモチベーションの維持が一番だと知っていました。だからこそ、Dulolingoはゲームのように楽しめるように設計したのです。
そしてそれが、Duolingoが教育カテゴリーで世界でもっともダウンロードされている理由と思います。
ある時、シリア難民が、移住先の国の言語を習得するためにDuolingoを使っていることを知りました。ついではビル・ゲイツがフランス語の勉強に使っていることも知ったのです。なんとDuolingoは世界でももっとも貧しい人と、もっとも富める人が使うアプリなのです。このことを本当に誇りに思いました。
都内、東京大学情報学環・福武ホールで