サイエンス

2023.09.13 14:30

サメは孤独な存在ではない、6400kmもいっしょに泳ぐ2匹のホホジロザメ

コモリザメ(Ginglymostoma cirratum)とネムリブカ(Triaenodon obesus)も、日中、グループを作って海底で休んでいるところが発見されており、接近して平和に共存するための寛容さを示した。ツマジロ(Carcharhinus albimarginatus)も群泳行動で知られており、特に海山などの海底でよく見られる。

ホホジロザメに関しては、データ追跡によって、アザラシの群生地など、ある種の海域での一時的な個体間のつながりが判明している。つまり、これはおそらく科学が捉えた友情関係なのだろう。ほかにも、タグをつけられていない別のサメがいっしょにいたのだろうか、あるいは、兄弟か異父母兄弟などの血縁関係はあるだろうのか?

この謎を解明するべく、OCEARCHの研究チームはサイモンとジキルに血縁関係があるかどうかを調べるために遺伝子検査を行っている。関係がどうであれ、2匹のこの前例のない行動をきっかけに、科学者たちは新たな探求の道を切り開き、この絶滅危惧種の理解をさらに深めようとしている。

「ホホジロザメは私たちが考えていたよりも複雑であることがすでにわかっています」とヒューターがDaily Mailに話している。「この発見は、サメの回遊における家族的、社会的要因にまったく新しい要素を付け加えるものです」。

さらにヒューターは、いずれも若いオスであるこのサメたちが、常に10~100マイル(16~1600km)の距離を保っていたことについても触れた。タグをつけられたジョージア州海岸付近の島、セントシモンズ島とジキル島にちなみ名づけられた2匹は、10~15歳と推定されている。

サメが社会的交流をしているかもしれないという発見は、科学研究においてだけでなく、保護活動にも役立つ可能性がある。サイモンとジキルの交友の発見はこの動物たちに「人間味」を与えるかもしれないとヒューターは信じている。いずれにせよ、サイモンとジキルはサメの社会的行動という未だほとんどが謎に包まれている分野に、価値ある知見をもたらすものだ。彼らのユニークな旅は、知識ベースに蓄積され、動物たちの理解をさらに深めていくものとなるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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