1曲目の『ウォンテッド』ではメンバーが順番にステージに上がり、ゆっくりと静かに壮大な物語の幕開けを告げる。続くアルバムのタイトル曲でもある『ソニックワンダーランド』の弾けるような躍動感は、リスナーを一息に「音楽のアドベンチャー」へと誘い込む。
3曲目の『Polaris』では、アダム・オファリルの優しいトランペットの音色にゆっくりと耳を傾けてほしい。筆者はこの曲のどこかノスタルジックで熱いメロディを聴くたびに涙腺が緩んでしまう。
上原とはバークリー音楽大学からの盟友であるシンガーソングライター/鍵盤奏者のオリー・ロックバーガーがリードボーカルとして、アルバム中盤6曲目の『Reminiscence』に参加している。この楽曲のメロディもまた、一度聴いただけで忘れられない力強さがある。
『ソニックワンダーランド』は繰り返し聴くたびに新しい発見が得られるアルバムだ。9月6日から各音楽配信サービスでも聴けるようになる。タイトル曲『ソニックワンダーランド』の先行リリースもチェックしてほしい。
◆上原ひろみ「Sonicwonderland」<2023年9月6日リリース>
インスタやYouTubeでの発信からも楽曲が生まれた
2019年ごろからアルバム『ソニックワンダーランド』の制作に向けて動き始めた上原は「このバンドで本当にやりたいことを忠実に追い求めてきた」と振り返る。2020年5月から8月にかけて、上原は期間限定のプロジェクトとして「One Minute Portrait」を展開した。上原が新たに1分の曲を書き下ろし、海外のトップミュージシャンとリモートで共演した映像をインスタグラムとYouTubeに公開。全部で8つのポートレートの中から『ソニックワンダーランド』に収録された4曲目の『Go Go』と8曲目の『Utopia』が誕生した。