音楽

2023.08.29 17:00

米国の格差社会を糾弾する「無名シンガー」が2週連続全米1位に

オリヴァー・アンソニー (Photo by Mike Caudill/Billboard via Getty Images)

オリヴァー・アンソニー (Photo by Mike Caudill/Billboard via Getty Images)

オリヴァー・アンソニーという無名のカントリーシンガーが歌う『リッチ・メン・ノース・オブ・リッチモンド(リッチモンドの北の金持ち)』という楽曲が、全米シングルチャートで2週連続で1位を獲得し、音楽業界を驚かせている。

いくら働いても「リッチモンドの北の金持ち」のせいでまともに暮らせないと歌うこの曲は、バージニア州リッチモンドの北に位置するワシントンD.C.のエリート政治家たちを非難していると解釈され、保守派の論客らの支持を集めている。しかし、アンソニー自身はその見方を否定している。



『リッチ・メン・ノース・オブ・リッチモンド』は、ビルボード・ホット100で2週目の首位を獲得した。

共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員などの極右の政治家らは、この曲の歌詞が与党である民主党の政治家たちを非難するものだとして、支持している。しかし、アンソニー自身は政治的に中立で、リベラル派とも保守派とも意見の相違があると述べている。

この曲は、今週ストリーミングで2290万回再生され、ダウンロード数は11万7000件を記録。ビルボードのデジタル・ソング・セールス・チャートとストリーミング・ソング・チャートで首位を獲得している。YouTubeで4600万回再生されている。

『リッチ・メン・ノース・オブ・リッチモンド』は、23日に開催された共和党の大統領候補者によるテレビ討論会の会場でも流され、共和党のロン・デサンティス州知事は「米国が衰退しているのは、リッチモンドの北の金持ちが我々をこのような状況に追いやったからだ」と述べていた。

アンソニーはその後、YouTubeに投稿した動画で「討論会でこの曲が流されたのはおもしろかった。この曲は、あそこにいる連中のことを歌っているのに、まるで他人事のように彼らが聴いているのを見て、大笑いした」と語っていた。

アンソニーはヴァージニア州ファームビルの農家の出身で、2021年から曲を書き始めた。ノースカロライナの工場で12時間シフトで働いていた彼は「多くの夜をハイになって酔っ払って過ごした」と、これまでの人生について話している。

彼は、2020年からカバー曲をYouTubeに投稿しており、8月1日に初めて『リッチ・メン・ノース・オブ・リッチモンド』のパフォーマンスを投稿した。

forbes.com原文

編集=上田裕資

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