大雨は地震を誘発する? 米西部、熱帯暴風雨の最中にM5超

熱帯暴風雨「ヒラリー」の接近により大雨に見舞われた米カリフォルニア州ラホヤ(Michael J Magee / Shutterstock.com)

米地質調査所(USGS)によると、米西部カリフォルニア州オーハイの南東7kmで20日、マグニチュード(M)5.1の地震が発生した。同地域はこの時、熱帯暴風雨「ヒラリー」の接近により大雨に見舞われていた。この地震は、熱帯暴風雨による降雨と関係していたのだろうか?

この問いに「イエス」と言える根拠はまったくない。そう結論づけるのは完全な臆測に過ぎず、科学的にも無責任だ。しかし、このテーマに関する科学的研究結果を紹介することは有益だろう。例えば学術誌Geophysical Research Lettersで2006年に発表された論文には「Evidence for rainfall-triggered earthquake activity(降雨が引き起こす地震活動の証拠)」というタイトルがつけられている。

研究チームは、雨水の拡散にともなう間隙水圧の変化と地震活動の間に強い相関関係があることを発見した。その仕組みは少し複雑だが、雨水が開口亀裂に流れ込み、亀裂に降水することが原因との説がある。これにより水圧が変化し、地震を引き起こす可能性がある。

USGSもこの件に言及している。USGSのウェブサイトは「地震災害が降水の影響を受ける可能性は低い。これは、地震の多くが起きる深さまで雨水が浸透しにくいためだ」と説明。一方で「大量の降雨または干ばつの期間は、地震が発生しやすい断層に間接的に影響を与える可能性がある」としている。そうした変化は断層に対する応力(歪みを生じさせる力)に影響し、地震が発生しやすくなる可能性があるという。

USGSは、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の研究チームによる2021年の研究結果にも言及。同チームが「コンピュータモデルを使い、カリフォルニアの断層にかかる応力の年間変動は、降水量や干ばつが異常に多い年に大きくなることを示した」と紹介している。この研究はカリフォルニア州に焦点を当てたものだが、2021年の別の研究では、中国でも降雨量と地震との相関関係が判明している。

これはまだ推測に過ぎず、研究が進められている段階ではあるが、示唆に富むものでもある。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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