キャリア

2023.08.23 18:00

12歳創作家を支える「幸せの哲学」 画像認識AIなど駆使し数々の発明品

露原直人

小3からホームスクーラーに

彼女が物作りを始めたのは、小学3年生の頃。学校へ通わずに自宅で勉強するホームスクールを始めて、フリースクールの「YESインターナショナルスクール」へ週2~3回通ったことがきっかけだった。
 
「私が通ったフリースクールは、ゲームをしても叱られないし、学びたい授業を自分で選べます。自分の好きなことを自由にできる場所で、物作りに対するエネルギーをもらいました」

田島がホームスクールを選択したきっかけは何だったのか。
 
「2歳上の兄が学校へ行かない選択をして、のびのびと楽しそうにホームスクールをしていました。私も兄と同じで集団生活が得意じゃなかったので、ポジティブな印象を受けたんです」
 
不登校は世間からネガティブなイメージを持たれるが、「いいところもある」と田島は声を大きくして語る。
 
「学校だと周りの人の行動や考えに流されてしまうけど、ホームスクールは自分の将来を考えて、やるべきことを選択できます。ただ、外出したり、人とコミュニケーションを取ったりする機会は減ってしまうから、フリースクールで補うようにしています」
 
中学校へ進学後は、N中等部へ週3回通っている。登校しない日は午前中に基礎学習、午後に課題や物作りを行うという。

田島がホームスクールを始めたことをきっかけに、母親は外部のコンクールやコンテストなどの情報収集を積極的に行っている。スタートアップジュニアアワードに応募したのも、母親から教えてもらったことがきっかけだった。母親は語る。
 
「せっかく作った作品を、彼女の世界に留めてしまうのはもったいないと思ったんです。ホームスクールだと他の人に作品を見てもらう機会は減ってしまいますから。彼女にとっていい経験になりそうなものは伝えるようにしています」
 
母親は娘の才能をどう感じているのか。
 
「苦手なことも『自分の未来に必要だ』と感じたら負荷をかけて挑戦します。その姿には感心しますね。彼女と一緒にいると、私も学び直しができてとても楽しいです。これから先、彼女の世界がどんどん広がっていくことに喜びを感じています」
 
田島が興味を持ったものは、家族と共に体験教室や博物館などを訪ね、より深堀りする機会を作るという。先日は、日露戦争について知りたいと言った彼女のために、家族全員でドラマ『坂の上の雲』を観た。
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文=ゆきどっぐ 編集=露原直人 撮影=曽川拓哉

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