宇宙

2023.08.21 11:30

太陽活動「極大期」は最も遠い海王星にも影響か、雲量との相関性

極めて刺激的

これは4年前のことだが、研究チームが持つ2023年6月の最新画像を見ると、雲が依然として存在しないことがわかる。カリフォルニア大学バークレー校の天文学部生だった時に今回の研究を主導し、現在はマサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード・スミソニアン天体物理センター(CfA)の大学院生のエランディ・チャベスは「これは極めて刺激的で予想外だ。海王星でこの前に雲の活動が低下した時期は、これほど劇的で長期におよぶものではなかっただけに、なおさらだ」と述べた。

太陽の活動が激しくなると、より強力な紫外線(UV)放射が太陽系にあふれる。

研究チームが使用した海王星の画像は、ケック天文台で2002~2022年に撮影された画像、ハッブル宇宙望遠鏡の1994年以降のアーカイブ、カリフォルニアにあるリック天文台で2018~2019年に収集されたデータから、それぞれ得られたものだ。

(画像上)ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した(左から)1994~2020年の海王星の雲の様子。(下)同期間の太陽紫外線強度の変化を示したグラフ(NASA, ESA, LASP, Erandi Chavez (UC Berkeley), Imke de Pater (UC Berkeley))
(画像上)ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した(左から)1994~2020年の海王星の雲の様子。(下)同期間の太陽紫外線強度の変化を示したグラフ(NASA, ESA, LASP, Erandi Chavez (UC Berkeley), Imke de Pater (UC Berkeley))

光化学反応

各太陽周期のピークから2年後に、海王星に多数の雲が出現することを、研究チームは明らかにした。雲の数と太陽光の反射による海王星の明るさとの間には、一方が増加するともう一方も増加する正の相関関係があることがわかった。

「これらの驚くべきデータにより、海王星の雲量と太陽周期に相関関係があることの、これまでで最も有力な証拠が得られている」とダ・パーターは指摘した。「太陽の紫外線が、十分強い時期には、海王星の雲を形成する光化学反応を誘発する可能性があるとする説を、今回の研究結果は裏づけている」

太陽極大期には2023年、2024年か2025年に到達すると予測されており、決定的瞬間が目前に迫っているかもしれない。太陽極大期は通常、太陽周期の一時期で、過去の記録を振り返ることでしか特定できない。今回は、海王星の雲がある程度の透明性をもたらすことができるかどうかを確認するために、あらゆる観測の目が海王星に向けられるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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