宇宙

2023.08.21

太陽活動「極大期」は最も遠い海王星にも影響か、雲量との相関性

NASAの無人探査機ボイジャー2号が撮影した海王星(NASA/JPL)

太陽が11年周期の「極大期」に向けて活動を活発化させる中、テクノロジーへの依存度がますます高まる社会に、太陽活動の増大がどのような影響を与える恐れがあるかを懸念する声が高まっている。

太陽系最果ての惑星、海王星では話が違ってくるが、それでもこの巨大氷惑星で起こっていることが、同じ太陽周期と密接に関連しているようだ。

惑星科学者チームが、ハッブル宇宙望遠鏡とハワイのケック天文台で収集された30年分の観測データを詳細に調べて導き出した結論によれば、海王星の雲の増減が、太陽の活動と連動しているという。

海王星が太陽から約48億kmの距離(地球は約1億5000万km)にあり、海王星の空に到達する太陽放射の強さが地球の空の0.1%ほどであるにもかかわらずだ。

海王星の雲

今から34年前、人類史上初となる海王星のクローズアップ画像が、米航空宇宙局(NASA)の探査機ボイジャー2号から送信された。この画像には、メタンを含む大気の上層部にある明るい筋状の雲が写っている。

この雲は海王星の季節によって生じるものと、これまでは考えられていた。海王星の公転周期は約165年で、四季はそれぞれ約41年続く。カギとなる証拠が得られたのは2019年。海王星の中緯度域に10年超にわたり存在していた多数の雲が、同年内にすみやかに消散したのだ。

これは、新たな「太陽極大期」の始まりに関連している。太陽の活動が激しくなるこの時期には、太陽磁場がねじれを起こし、表面に現れる黒点の数を増加させ、より強烈な爆発現象を発生させる。

学術誌『Icarus』に掲載された今回の研究論文の主執筆者で、カリフォルニア大学バークレー校の天文学名誉教授イムカ・ダ・パーターは「海王星で雲がどれだけすみやかに消えたかには驚かされた」と話す。「基本的に、雲の活動が数カ月以内に低下するのを確認した」
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翻訳=河原稔

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