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2023.08.23 07:00

「鑑定士付きEC」日本で拡大のワケ コマース特化VCに聞く新潮流 

僕はこのキャラクターAIによるEC市場が爆発的に伸びると思っています。
 
昨年上場したVTuber事務所を運営するANYCOLORは、一時3000億円の時価総額を記録しました。最近のIPOを見ていても、toC向けのサービスで時価総額1000億円を超えるのはかなり珍しい。そして同社の売り上げ構成比では、VTuberなどのグッズを販売するコマースが大部分を占めているんです。
 
そういう意味で、IPを使った「AI販売員」のようなサービスは続々と出てくると予想しています。
 
──そのようななかで、日本発で勝てる領域というのはありますか?
 
日本が持つ資源を活用したビジネス領域ですね。
 
例えば、投資先の1つにLocal Localという企業があります。地方に眠る資源を持つ会社を事業承継しリブランディングし、海外販売していく事業を行っています。2019年に創業し、まずは、酒蔵の焼酎をブランド化したものを販売する事業から開始しています。こうした日本ならではの資源を活かしたECは海外でも受け入れられていくと思います。

毛色はかなり変わりますが、歯科矯正の「越境EC」は可能性を秘めているかもしれません。日本の歯科医院で作成される治療計画って緻密に設計されていて、歯型の製造においては歯科技工士という国家資格が存在しています。国際的な信用があるんです。
 
海外では、歯科矯正の需要が高く、スタートアップもいくつか出現してきているので、そういった企業や歯科医院に対して、越境ECで日本の矯正技術を販売していくというのは、勝ち筋としてあると思います。
 
──国内の資源や技術を活用したところに、大いに商機がありそうです。今後New Commerce Venturesとしての展望は、どんなものとなりますか?
 
当社は、LP(ファンドへの出資者)も含めて小売企業で固めているのが特徴で、20を超える事業会社や起業家の方に参画をしてもらっています。LPと出資先のスタートアップによる協業も創出していけるよう、支援を強化していきたいと考えています。

文=露原直人 撮影=曽川拓哉

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