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2023.08.23

「鑑定士付きEC」日本で拡大のワケ コマース特化VCに聞く新潮流 

New Commerce Ventures代表の大久保洸平(撮影=曽川拓哉)

日本のECの市場規模(BtoC)は、2019年に約19兆3609億円、2021年には20兆6950億円と、コロナ禍で拡大した。販売経路は、楽天市場やアマゾンといったECモールだけでなく、ライブコマースやチャットコマースなどまでに広がり、多様化している。
 
そうしたなか、ベンチャーキャピタル New Commerce Ventures代表の大久保洸平は「日本で『鑑定士付きのECビジネス』が拡大している」と話す。
 
同社は、2022年8月に誕生した、小売領域のスタートアップにのみ投資する特化型VCだ。これまで12社に投資してきたというコマース領域の専門家に、日本のECビジネスの新潮流を聞いた。

鑑定士付きEC、コロナ禍拡大の理由

──いま日本で広がっているECビジネスには、どのようなものがありますか?
 
プロの鑑定士による商品の真贋鑑定を行うECサービスが増えています。メルカリやヤフオクは個人間でやりとりをしますが、本物かどうかを見分けることは難しい。適正でない価格で販売されているケースもあります。そうした「不確定要素」に信頼性を持たせることで商品の売買をするECです。
 
市場としては海外から始まり、2015年に創業した米国のストックXやゴートがその代表例です。彼らは、中古のスニーカーの販売をしていて、そのブランドが本物かどうかを鑑定士が見分けています。ストックXは、2019年にユニコーン企業にもなりました。

実は、日本でも2018年頃からこのビジネスは始まっています。有名なのは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資して話題になった「スニーカーダンク」というサービスです。これもストックXなどと同じスニーカーの再販をしています。
 
──そのような真贋鑑定を行うECサービスでは、どのようなトレンドが顕著でしょうか?
 
扱う商材が多様化しているということですね。
 
例えば、弊社で投資しているアワバリューは、2020年11月の設立で、中古の高級時計や高級バッグを扱っています。また同年6月にサービスを始めたアラカンは中古車のフリマを展開しています。
 
最近では資金調達事例も増えてきていて、今年8月にはトレーディングカード専用のフリマサイト「magi」を運営するジラフが13億円、ブランド品の鑑定サービスを手がけるIVAが8億円調達しています。
 
これらのどのサービスにも専門のプロ鑑定士がついています。日本では、コロナ禍を機に扱う商材が増えて、事業が拡大してきている印象です。
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文=露原直人 撮影=曽川拓哉

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