「オルタナティブ投資」が流行りましたよね。「代替投資」とも呼ばれていますが、株や債権ではないものへの投資です。
その1つとしてあったのが、スニーカーやブランドバッグをできるだけ高い値段で買い取ってもらうお小遣い稼ぎです。当たり外れはあるものの、スニーカーでも高額なものは数百万円で売られたりしています。
ただ、買う側は本物を買いたいと考えるため「鑑定士付きのEC」が広まっていきました。
──「質屋」がオンライン化するイメージでしょうか?
そうですね、やはり大きな特徴は事業者が店舗拡大を成長の柱にしていないということですね。実店舗などの固定費がかからないので、個人間取引よりは「鑑定士付き」のぶん販売価格は少し高くなりますが、質屋よりは安い。
特に投資対象のものを扱う場合は、何より真贋の正確さが求められるので、偽物だったら全額保証とか、何日間返品無料とか、そういった謳い文句で、購買者に対して安心感を醸成していっている状況ですね。
Adobe元CTOが参入した「生成AI × EC」
──「鑑定士付きEC」のように、いま海外で注目を集めているECはありますか?「生成AI × EC」は伸び始めていますね。どういうものかというと、EC商品の画像や動画、広告文、SNS投稿文を生成AIが担うというものです。この分野ではAdobeの元CTOがタイプフェイスという会社を起こして事業を行っており、今年2月にはGoogleやMicrosoftなどから89億円を調達しています。
それから、これは少し未来の話になりますが、AIがライブコマースをするというのも、いずれ当たり前になってくるでしょう。例えばジャパネットたかたのCMでの喋り方や過去のトーク内容を学習したAIが、商品を勝手に売っているという現象は、近い将来、起こることだと思います。
それはAIがアイドルや芸能人になりきってでもできるし、あるいはポケモンなどのキャラクターでも可能です。IP(知的財産)を保有する企業は、そうしたビジネスの可能性を秘めていますね。