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2023.08.19 17:00

Peatix藤田祐司の偏愛漫画『SLAM DUNK』|社長の偏愛漫画 #15

ビジネスも人生も、漫画が教えてくれた──。

経営者が座右の書とする漫画作品を紹介する連載「社長の偏愛漫画」。自身の人生観や経営哲学に影響を与えた漫画について、第一線で活躍するビジネスリーダーたちが熱く語ります。

第15回目は、Peatixの藤田祐司が登場します。聞き手を務めるのは、漫画を愛してやまないTSUTAYAの名物企画人、栗俣力也。


栗俣力也(以下、栗俣):『SLAM DUNK』を選んだ理由はなんでしょうか。

藤田祐司(以下、藤田):『SLAM DUNK』は僕が中高生のころの作品で、当時は毎週、週刊少年ジャンプを買って読みました。青春時代の象徴的な存在でした。当時としては連載が早く終わって(90年10月〜96年6月に連載)。「まだ続きがあるだろうな」というところでの終わり方も含めて、すごく衝撃的だったんです。多様な登場人物がいるなかで、みなそれぞれの正義があって、悪い人がいない作品である。見ていて気持ちが良い作品です。いま映画が人気で再び脚光を浴びていますが、子どもたちにもぜひ見てもらいたい作品だと常々思っていました。

栗俣:藤田さんもスポーツをやられていた?

藤田:バスケはやっていなかったのですがスポーツはやっていました。スポーツにまつわる作品だと野球の『タッチ』などいろいろあるなかで、中高生時代、一番部活に打ちこんでいるときに連載されていたリアリティのある作品が『SLAM DUNK』で、感情移入のしやすい作品でした。

栗俣:『SLAM DUNK』のストーリーは、わずか4カ月の間に起きる出来事です。ヤンチャで生意気な桜木花道や流川楓は、初めはお互いパスを回さなかったりと、チームメイト間の信頼関係は皆無です。キャプテンの赤木剛憲はインターハイ(全国大会)に出たくてたまらないのに、まわりのメンバーは全く赤木についてきてくれない。そんなチームの空気も実力も、バスケットボールに熱中するうちにものすごいスピードで変貌していきますよね。

藤田:桜木が初めて試合に出るあたりで、桜木と流川が2人でコートに出ていくときに「ちゃんとやれよ」「ふざけんなよ」みたいなことを言い合いながら走っていくシーンがあって、そのときはまだあまり信頼関係が作られていなかったと思うんです。それからわずか4カ月で最後のシーンまで進んで、あそこまでチームが作られていった。彼らの湘北高校というチームにリーダーがいて、監督がいる。だからあそこまで一気にいけたのだろうなと大人になってから思いました。

栗俣:流川も桜木も、そのほかのメンバーもみんな問題児ですよね。その問題児がまとまっていった。

藤田:チームがまとまった要因として、安西先生のメッセージがあると思います。安西先生が「相手の安い挑発にのって一人相撲のPG(ポイントガード)」と言うシーンがあります。「予想された徹底マークに意地になって無謀な攻めを繰り返す主将(キャプテン)」とか、赤木に対してもメッセージを出す。こうしたことを言われると、一人ひとり「あっ」と立ち止まる。頭に血が上ったり、まわりが見えなくなったり、信頼しきれてなかったりする時に、それを気づかせ、内省させるような発言。要所要所でのそうした発言によって、チームがひとつのまとまりに少しずつ近づいている感じがあります。
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