Z世代による魚の缶詰コンテスト 地域社会の問題解決へ

2022年授賞式の様子(プレスリリースより)

日本財団の「海と日本プロジェクト」による高校生の魚の缶詰アイデアコンテスト「Local Fish Can」グランプリが今年も開かれた。日本各地で問題とされている魚「ローカルフィッシュ」を資源として活用すると同時に海の環境を守ろうというイベントだ。その一次審査を通過した24チームから、決勝戦に進出する9チームが決定した。さて今年の9チームは、どんなユニークな缶詰を提案するのか、簡単に紹介しよう。

大分県立海洋科学高等学校「大分海援隊」(大分県)
海藻を食べることで磯焼けの原因となっているブダイを使った「ブダイのあんかけそば」を提案。大分県では、ブダイは匂いが強いために捕獲しても食用として市場に出せない厄介な魚とされている。しかし内臓を取って適切に処理すればおいしく食べられる。名産の茶葉も利用するとのことだ。

熊本県立天草拓心高等学校マリン校舎「チヌプロジェクト」(熊本県)
熊本名産のアサリを食べてしまうチヌ(クロダイ)の一種、キチヌの活用を考えた。クロダイと違って市場価値が低いキチヌの旨味を凝縮した「キチヌのあんちゃん」を地域の特産にしようと意気込んでいる。

愛媛県立長浜高等学校「あらぶるぶりのあらぼね救助隊」(愛媛県)
ブリの中落ちを利用した「ブリの骨じゃん」を提案。愛媛県は全国シェア第3位のブリ王国だが、中落ち部分は大きな骨が災いして商品化できずに捨てられている。そこで骨まで柔らかくして食べられるよう工夫するということだ。

関西学園岡山高等学校「探究学習グループ」(岡山県)
海水温の上昇で増えてきたアイゴという魚を使った「アイゴのアヒージョ缶詰」を提案。下処理が面倒なため敬遠されているアイゴだが、じつはおいしい魚なのだという。そのおいしさを知ってもらいたちと、生徒たちは話している。

第一原田学園おかやま山陽高等学校「普通科進学コース&調理科」(岡山県)
チヌによる養殖牡蠣の食害が急増していることを受け、「黒ダイの白シチュー(Black and White)を提案。臭みや傷みやすさから流通が難しいチヌのおいしさを、この缶詰で発信したいということだ。
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文 = 金井哲夫

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