客を乗せない「貨物新幹線」とは? JR東日本が大量輸送実証実験

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1960年代、国鉄は東海道新幹線を使って貨物を高速輸送する「貨物新幹線」構想を練っていたが、諸般の事情で頓挫した。それが60年経った今になって再燃し、ついに実現に向けた実証実験の段階に突入した。

JR東日本は、小口の荷物を新幹線で輸送する「はこビュン」サービスをすでに実施しているが、これは「新幹線による大量輸送の事業化」に向けた取り組み。新幹線車両基地から専用列車に貨物を載せて運ぶという、便乗型ではない、ホントの貨物新幹線となる。

今回の実験は、8月31日、上越新幹線で実施され、東京と新潟の間を1往復する予定だ。6月にも東北新幹線の東京と盛岡の間で実験が行われたが、そちらは自動搬送ロボットを使った貨物の積み下ろしや荷さばきの検証がメインで、通常ダイヤの旅客列車を使っていた。今回は客を乗せない専用列車が準備される。

上りは、午前9時31分に新潟新幹線車両センターを出発し、11時56分に東京新幹線車両センターに到着。下りは16時32分に東京新幹線車両センターを出て、18時48分に新潟新幹線車両センターに着く。運ぶのは、鮮魚、青果、菓子、酒類、生花、精密機器部品など約700箱と、医療用医薬品や雑貨が約100箱の計800箱。

新幹線なら、輸送時間は東京新潟間で約2時間半、東京盛岡間で約3時間(トラックなら半日以上かかる)。二酸化炭素削減にも貢献でき、トラック輸送の法改正によって輸送能力が大幅に低下するとされる、いわゆる「物流の2024年問題」の緩和策としても期待される。60年前の貨物新幹線構想が、SDGsに沿った現代型の新輸送インフラとして復活し、ついに実現する。事業化は来年度以降を予定している。

【お詫びと訂正:2023年8月13日 16:10】記事初出時にタイトルに間違いがございました。ご迷惑をおかけした読者の皆様、ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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