思い返すと、20代の後半は失敗の連続でした。力をつけようと衣装の仕事を次々に引き受けて、気合いが入りすぎて、求められているものと全然違うものを作ってしまったり。でもそこで、相手が求めているものを見極める力がついた。デザインをやっていると自分の世界に入ってしまいがちなのですが、客観性を持てるようになりました。
レディ・ガガが着用し、NYでファッションショー
インスタグラムが出てきてからは、その活用に力を入れました。作品やセレブリティの着用を発信するだけでなく、一緒に仕事をしたいなと思う方をフォローして、フォローバックされたらDMして、繋がりを広げていく。コストのかからない草の根運動という感じでしょうか。同世代のデザイナーがショーをやっていたりするのを見て焦ることもありましたが、「いいものは常に探されている」という感覚があったので、他にはないものを作り、それを地道に発信し続けました。
そうこうしているうちにだんだんと、色々な方からお声がけをいただく機会が増え、ご縁ができて、仕事に繋がるようになりました。2016年、27歳の時、レディ・ガガが来日した際に僕のドレスを着てくれたことは、とても大きな転機になりました。
トップスタイリストのケイティ・グランドとの縁も、インスタが繋いでくれました。ケイティの周りの人たちが、僕の投稿に反応してくれて、そこから本人とDMでやりとりが始まって。その1カ月後には、彼女と一緒にニューヨークでファッションショーをやっていました。2019年、30歳の時です。その時のラストルック(ショーのフィナーレで登場する)は今、ニューヨークのメトロポリタン美術館にも所蔵されています。
小さな繋がりがまた新たな繋がりを生み、小さな一歩が一つずつ大きな成果に結びついていく。結果って、すぐには出ないんですよね。