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2023.08.15

19歳の立崎乃衣 リバネスの「植林用播種ドローン」開発に参加

「植林用播種ドローン」のプロトタイプと立崎乃衣

スタートアップの創業や事業拡大を支援するリバネスは8月2日、国内外での植林に使用する「植林用播種ドローン」のプロトタイプを発表した。

この開発には、リバネス モルティングジェネレーターの立崎乃衣が参加した。9歳からロボット制作を始め、世界的なロボットコンテストで入賞経験もある立崎は、2022年に世界を変える30歳未満の30人を表彰するプロジェクトForbes JAPAN「30 UNDER 30」にも選出された19歳だ。

「社会課題の解決を先導するエンジニアを目指している」という立崎は、今年3月に高校を卒業した後、海外の大学に進学するまでのギャップイヤーを活用して同社に参画している。
(左から)リバネス執行役員の塚田周平、リバネス モルティングジェネレーターの立崎乃衣、KOBASHI ROBOTICS ものづくり支援課 スペシャリストの稲田和也

「植林用播種ドローン」の開発は、リバネスが今年3月に立ち上げた「LVNS Forest Project(リバネス・フォレスト・プロジェクト)」の中のひとつの取り組み。世界の森林面積が減少し続けていることを背景に、同社が日本企業12社とパートナーシップを組み、持続可能な形で森林と人が共生する社会をつくることを目的としたプロジェクトだ。

植林用播種ドローンとは、植物の種子を土壌などの資材で球にした「シードボール」を空から落下させることで、広範囲に効率的に植林するためのドローン。フィリピンで森林再生に挑むスタートアップ「ガランシアン」発案の植林方法で、このシードボールは鉱山跡地などの環境でも発芽育成ができるよう工夫されている。ドローンは、農機具生産などを手掛けるKOBASHI ROBOTICSとともに開発した。
植物の種子を土壌などの資材で球にしたシードボール

立崎が担ったのが、シードボールを落下させる装置(シーダー)機構の開発。主なミッションは、シードボールを詰まりなく送り、1アクションにつき1つずつ落下させること。今年3月に開発をスタートし、5月には試験飛行を実施した。8月には、20〜30個のシードボールを搭載できるプロトタイプをお披露目した。
シードボールの代わりにゴルフボールを使ったデモンストレーション。コントローラーで操作するとボールが1つずつ落ちる仕組み

プロトタイプでは、シーダーや操作方法などに課題点も残るため、さらに改良を加えて年度内にはフィリピンでの実証に活用する予定。立崎は「世界規模の課題解決をするプロジェクトが生まれる瞬間を見ることができて、学びや成長につながった。これからの世代をつくっていく当事者のひとりとして、(プロジェクトに)インパクトを与えていけたら良いなと思う」とコメントした。

この「植林用播種ドローン」は、フィリピンだけでなく、ニーズが確認できているマレーシアなど他の国でも活用していく予定。日本でも植林が必要な地域はあるため、活用を検討している。

文・写真=田中友梨

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