UNDER 30

2023.06.20

インド発ブランドがスローファッションを牽引? 新進気鋭のデザイナーたち

Harsh Agarwal, founder of Harago. KARAN NEVATIA FOR FORBES ASIA

スローファッションが盛り上がっている。

今年の「Forbes 30 Under 30 アジア:アート部門」に選ばれたデザイナーを含む多くのデザイナーが、レーベルを立ち上げる際にファストファッションが環境に与える影響を考えていた。その結果、流行や季節感を超えて、美しく、倫理的に生産された衣服が生み出されている。

特にインドのデザイナー、ハーシュ・アガルワルはこのような状況を楽しんでいる。彼は中学生のときから生地を集め、自分の服をデザインしていた。2019年、刺繍やブロックプリントなどインドの伝統的な職人技をカジュアルウェアのデザインに取り入れたメンズウェアブランド「Harago(ハラゴ)」を立ち上げたときに、その情熱は発揮された。

ジャイプルを拠点とするこのレーベルのインスピレーションは、2017年、アガルワルがニューヨークで国連のインターンとしてサステナビリティ問題に取り組んだときに得たものだ。彼は、ファッションにおける職人技と環境に優しいコンセプトを融合させたキャリアを望んでおり、2018年にプネにあるシンビオシス国際大学で経済学の学位を取得した後、インド中を旅して職人の家や店舗を訪れ、職人の仕事を理解した。

彼のファーストコレクションの特徴は、手織りのコットン、シルク、ウール、ヴィンテージ・ファブリックを使ったシャツやパンツ。それから4年、アガルワルはニューヨークのサックス・フィフス・アベニューや韓国のハンスタイルなど、世界中の小売店に自分のデザインを提供している。

「私たちが重視しているのは、クラフトマンシップ、職人、そして職人の伝統工芸の遺産を継承することです」(ハラゴ創業者、ハーシュ・アガルワル)

2021年、ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズがハラゴのショーツを履いているのが目撃され、ハラゴは注目を集めた。

同社は、インド国内の200人以上の職人によって、年間8500枚の服を生産している。1着を仕上げるのに1週間から10日ほどかかるという。

アガルワルは、ハラゴをサステナブルなブランドとして宣伝しない。それは、「ファッション業界は100%サステナブルになることはありえないから」と言う。「私たちが重視しているのは、クラフトマンシップ、職人、そして職人の伝統工芸の遺産を継承することです」。

次は、5月に初のレディースコレクションを発表する予定だ。
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翻訳=上西雄太

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