渋滞よさようなら、自動運転車の普及が都市生活の姿を一変させる

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我々は、すべてが自律化する時代に入ろうとしている。今こそまさに、このテクノロジー革命が、私たちの暮らす大都市の姿をどう変えるかをイメージするのに適したタイミングだ。

とりわけ、自動運転車が圧倒的多数を占める未来が到来すれば、そこにもたらされるのは移動のスマート化だけではない。都市の交通状態は緩和され、もっと住みよい場所になるだろう。環境も、よりクリーンになり、生活の質の向上も期待できる。

普及でもたらされる交通渋滞の緩和

自動運転車がもたらす可能性があるメリットとして真っ先に挙げられる1つが、交通渋滞の大幅な改善だ。相互通信機能を備えた自動運転車では、速度や走行データ、タイミングの最適化が可能だ。これにより車両が一定のペースで流れるようになり、渋滞の原因となるボトルネックを生じさせるノロノロ運転を最小限に抑えられるようになるだろう。

想像してみてほしい。ニューヨーク、ロサンゼルス、東京などの巨大都市の街路が、現在のようなカオス状態を脱し、自動運転車によって見事に構築された「シンフォニー」を奏でる様を。そこから生じるのは、騒音やストレスがめっきり減り、街のリズムがラッシュアワーの人やクルマの流れに支配されることなく、昼夜を問わずスムーズに人や車が流れる街の在り方だ。

再設計される都市空間

駐車スペースが減れば、都市計画当局は、これまではクルマが停まっていた価値ある土地を、他の目的に振り向ける道が開ける。現在は駐車場やガレージに使われているコンクリート舗装された広大なスペースを、緑地やレクリエーションエリア、歩行者向けの遊歩道や自転車レーンに生まれ変わらせることも可能になる。

さらには、都市の景観も変貌を遂げるだろう。立体駐車場が減り、住宅や地域社会向けの施設に取って代わるはずだ。こうして、より開放感のある、人間中心の都市が誕生する。クルマを停めておくスペースよりも、地域社会や横のつながりに主眼が置かれるようになるはずだ。

生活の質の向上

自動運転車は、都市の物理的な景観を変えるだけでなく、そこで暮らす者の生活にも大きな影響を与えるだろう。都市生活者は、現在は移動に費している時間を自らの手に取り戻すことで、よりゆったりした、生産性の高いライフスタイルを享受できるはずだ。

これまで通勤に費やしていた時間は、毎日の苦行から、個人的な時間を楽しむチャンスへと変貌するはずだ。より長い睡眠時間や、仕事のキャッチアップ、良書に親しむなど、さまざまな可能性が生まれるだろう。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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