モビリティ

2023.08.07 11:15

渋滞よさようなら、自動運転車の普及が都市生活の姿を一変させる

それだけでなく、自動運転車は高齢者や年少者など、いまはクルマを運転できない人たちに、これまでになかった移動の自由を与えることができる。これにより都市は、さらにさまざまな立場の人を受け入れる、アクセスしやすい場所になるはずだ。

よりクリーンでグリーンな都市へ

自動運転車のほとんどが電力駆動になるとみられるので、大都市は、サステナビリティの視点から見てさらにクリーンになるはずだ。電気自動車(EV)は、排気に関しては完全なゼロエミッションを達成できる。これにより、都市の大気汚染の主因である車からの排気を大幅に削減できるはずだ。

米環境保護庁(EPA)の調査結果によると、製造から廃棄までのライフスパン全体で見た場合、EVは、従来型の内燃式自動車に比べて、温室効果ガスの排出量を半分以下に抑えられるという。また、粒子状物質(PM)と呼ばれる、呼吸器や心臓血管系の疾患を引き起こすおそれがある、有害な微粒子の排出量も少なくなる。

今後、電力網が進化し、より多くの再生可能エネルギー源を組み入れるようになれば、EVの環境フットプリントはさらに小さくなるだろう。それだけでなく、電気駆動の自動運転車を導入すれば、従来型の車に比べて静かに走行できるため、街中の騒音も軽減されるはずだ。

すなわち、自動車からの温室効果ガス排出量の低減は、大気の質の改善につながり、より健康に良い都市環境の醸成に貢献するということだ。クルマのエンジンの大音量や、排気ガスによるスモッグが過去の遺物と化し、空気はよりきれいになり、空も澄み切って、電気自動車のブーンという小さな音だけが響く都市を想像してみてほしい。

今後に向けて

ただし、自動運転車が圧倒的多数を占める未来に移行する道には、課題が山積していることも間違いない。規制面での問題から、車の運転に従事している労働者の配置転換まで、課題は枚挙に暇がない。

それでも、渋滞が解消され、クリーンで住みよい都市というビジョンは非常に魅力的だ。これまで騒音や汚染、ストレスばかりの通勤といったネガティブ要素と結び付いていた大都市は、こうしたビジョンの中で、よりサステナブルかつ快適で、効率の良い居住空間へと変貌する可能性がある。

私たちがイノベーションを続け、新たな技術と社会に適応していけば、こうしたビジョンはすぐに現実になるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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