宇宙

2023.07.17

超小型月面探査車をじゃんじゃん送り込むプロジェクト 今年中に打ち上げへ

プレスリリースより

手のひらサイズの安価な月面探査車を何台も月に送り込んで、多くの企業が月開発に参入できるようにする民間プロジェクトが、東京都大田区の宇宙スタートアップ、ダイモンによって進められている。第1号機は今年中にアメリカのIntuitive Machinesが打ち上げを予定している月着陸船Nova-Cに同乗し、月の南極付近に送り込まれる。続けて2024年以降に第2号機も送り込まれるが、すでにアメリカのAstrobotic Technologyと月輸送契約を交わしている。

ダイモンの月面探査車「YAOKI」(ヤオキ)は、センサー、モーター、バッテリー、通信機などを備えた超小型の実験ロボットでもある。設計は、かの名車、アウディ・クアトロの駆動系を開発した国際的エンジニアでダイモン創業者の中島紳一郎氏。左右上下対称型でどんな地形でも走行できるよう工夫されている。100Gの衝撃にも耐えることができ、放り投げられてもひっくり返っても走ることができるので、七転八起からYAOKIと名付けられた。YAOKIの目的のひとつには、月面活動で重要となる「確かなモビリティー技術」の実証もある。

現在、月に物資を送り込む費用は1キログラムあたり1億円が相場とされている。YAOKIの重量は498グラム。月ロケットに安く載せることができるため、数多くの日本企業が月開発に参入するきっかけになることが期待されている。今のところ、三菱ケミカルをはじめ、月面開発の参入を目指す企業11社ほどがパートナーとなり、それぞれの要素技術やサービスを投入して競争力を高めていくとのことだ。また、YAOKIをOEM提供して、それぞれの企業が月面探査を行えるサービスも開始する。さらに、NASAの商業月面輸送サービス(CLPS)への民間企業としての参加、アルテミス計画と連携した月開発への貢献、月面基地建設への貢献を計画している。

ダイモンは7月13日、ケップルDX1号投資事業有限責任組合を引受先とするプレシリーズAラウンドと、そのほかの融資と合わせて総額1億4000万円の資金調達の実施を発表した。これにより、さらなる技術開発を加速するということだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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