映画「せかいのおきく」プロデューサーに聞く。映画でつくるサーキュラーエコノミーとは

YOIHI PROJECT、今後の展望

YOIHI PROJECTは、『せかいのおきく』に関連して子供向けの本やアニメなどを販売している。教育・体験プログラムをはじめとする、今後のYOIHI PROJECTの計画と展望についてうかがった。

「資金面もあるのでバランスが大切になりますが、今後はコンテンツ作成をメインにしていきたいと思っています。環境問題について、若い世代は真剣に考えています。若者に伝え持続させていくには、次世代の人たちとの協働が必要です。

次世代に伝えていく方法についての意見を聞いてみたいと思っており、東京大学をはじめとする大学と連携して活動していきます。

私たちから『こうしましょう』という提案はせず、若い人たちに『どうしたらいいか』を聞いてみたいと思っています。私たちの思いが若い世代に伝われば、彼らも次世代に伝えていくのではないかと思っています。

コンテンツをつくるのは大変ですが、つくったコンテンツの運用方法を若者と一緒に考えていきたいです。また、文化も言葉も異なるさまざまな国で、積極的に伝えていきたいです」

編集後記

100~150年後を見据えて、映画人と学者が連携し、伝え持続させていくことを目指すYOIHI PROJECT。

「伝えていく対象である次世代と協働して、今後活動していきたい」という原田氏の考えが、とても印象に残った。そして、「舞台セットや弁当箱のリユース」を自然な形で取り入れたこと、それを面白いと感じたということを興味深くうかがった。

こうした試みは、同氏が長年映画に関わってきたなかで、すでに「小さなことの積み重ね」に重きを置いていたことの結果だろう。

原田氏は、『せかいのおきく』のテーマについて公式サイトでこう語っている。

江戸時代は資源が限られていたからこそ、使えるものは何でも使い切り、土に戻そうという文化が浸透していました。人間も死んだら土に戻って自然に帰り、自然の肥料になる。人生の物語もまた、肥料となる。自然も人も死んで活かされ、生きる。

この映画に込めた想いが、観た人たちの肥料になることを願っています。

今回のインタビューのなかで原田氏は、循環をテーマにしたエピソードやせりふが『せかいのおきく』のなかに多く散りばめられていると述べた。みなさんは、『せかいのおきく』に散りばめられたさまざまな循環について、どんな感想を持たれるだろうか。

【参照サイト】
YOIHI PROJECT
『せかいのおきく』
ニッポン・コネクション


※この記事は、2023年6月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。

文=クリューガー量子

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