「リゼンティーズム」など次々に生まれる人事用語は問題解決に役立つのか?

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このところ「不満を抱く従業員」を表す新しい流行語が世に出まわっている──「リゼンティーズム(Resenteeism)」だ。これは、仕事に不満を抱きながら、職の安定性に不安があって辞めずにとどまっている状態を指す。

そうした現象は、(何世紀とは言わないまでも)何十年も前から存在するじゃないかと思われるかもしれないが、まさにそのとおりだ。

自分の仕事に不満を抱きながら、もっと良い職を見つけるのが難しいという理由で仕事を続ける。それは、まったく新しいことではない。例えば、筆者が創業した従業員エンゲージメントに関するコンサルティング企業Leadership IQの調査では、42%の企業において、業績評価の高い人の方が、低い人よりも実際にはエンゲージメントが低いことが明らかになった。

なぜだろうか? 業績評価の高い人ほど、評価や認識の上乗せがほとんど、もしくはまったくないまま、より多くの仕事をこなしているからだ。

別の調査では、従業員の26%が「意欲はあるが不満を持っている」ことがわかった。つまり、仕事に全力を尽くす意欲はあるが、自分の会社を嫌っている者が4分の1ほど存在しているということだ。

2500人の従業員を対象にした調査では「別の仕事を探したい」と思うほど大きなフラストレーションを職場で感じている人がおよそ60%に上ることが明らかになった。

問題は、職場に不満を感じる従業員や、意欲がない従業員がいるかどうかではない。そうした人は現に存在する。悩んだり、やる気を失ったり、ひどくみじめな気分になったりするのも当然に思われる理由があることも珍しくない。だが、そうした現象を表す「リゼンティーズム」のような新しい言葉を人事コンサルタントがひねり出すたびに、3つの問題が生じる。

第1に、新語は短期的には流行するものの、それについての議論は一過性で中身のないものになってしまう。問題を理解するための真剣な調査はほとんど、もしくはまったく行われないし、エビデンスも得られない。ましてや、解決策となればいうまでもない。ほとんどのCEOは、キャッチーな新語の載った記事を読んだからといって、自社の人事運営や人材戦略をいきなり変えたりはしないだろう。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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