ずいぶんと簡単な話に聞こえるが、実際ほとんどの従業員は、自分のパフォーマンスが「良い」と「すばらしい」のどちらなのか判断できていないことが、調査で明らかになっている。例えば、筆者が創業したコンサルティング企業Leadership IQ(リーダーシップIQ)が3万人の従業員を対象に行った調査によると、自分のパフォーマンスがしかるべきレベルに達しているかどうか常に判断がつくと答えた従業員はわずか29%だった。その一方で、36%はまったく、あるいはほとんど判断がつかないと回答している。
これについては、簡単にテストすることができる。5人の従業員に、こう質問するのだ。「良いチームワーク」と「すばらしいチームワーク」の違いは何か。あるいは、説明責任やコミュニケーションにおける「良い」と「すばらしい」の違いは何かと。
質問に対して、従業員が「わからない」と答えることもあるだろう。また、従業員全員が何らかの答えを出すが、その答えがすべて違っているということもあるだろう。そもそも、良いパフォーマンスとすばらしいパフォーマンスの違いが明確に定義されていなければ、自社がすばらしいコミュニケーション、説明責任、チームワーク、カスタマーサービスを達成できるはずはないのだ。
役に立つリーダーシップトレーニングのテクニック
幸いなことに「ワード・ピクチャー」というリーダーシップトレーニングの手法を用いれば、自社のマネージャーを優れた教師に変えることができる。ワード・ピクチャーは「要改善(Needs Work)」「良い」「すばらしい」の厳密な違いを、明確な行動と言葉を通じて従業員に教える。このトレーニングテクニックは、良い仕事とすばらしい仕事の違いについて、マネージャーに深く考えさせるように作られており、実際にそのやり方を示してくれる。
これは、よくある陳腐なロールプレイではないし、たくさんの台本を暗記するものでもない。このテクニックでは、良いパフォーマンスとすばらしいパフォーマンスの違いを定義するために、マネージャーに深く考えることを促す。そして、この深い考察こそがリーダーを、単なる「伝える人」から「教える人」に変えるのだ。
自社のマネージャーが、従業員が最高のカスタマーサービスを提供できないことに不満を抱いているとしよう。建設的なフィードバックから叱咤激励まで、あらゆる手を尽くしたが、サービスはいま1つのままだ。