「良い仕事」と「すばらしい仕事」の違いは? 優れたリーダーを育てる方法

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そこで、リーダーシップトレーニングにワード・ピクチャーを取り入れて、マネージャーを超一流の教師に変え、たちまちカスタマーサービスを改善する方法をご紹介しよう。

・ステップ1:マネージャーに対して「最近目にした悪いカスタマーサービスの具体例はどんなものか」と問う。おそらく、こんな答えが返ってくるだろう。「従業員に答えられない質問を顧客がしてきたとき、従業員が、顧客を別の担当者や部署に回し、『そこで聞いてください』というだけで、結局何も解決しなかった」

・ステップ2:マネージャーに対して「そのような状況で、最近目にした良い対処例はどんなものか。完璧ではなくとも、より良いといえる対処法は」と問う。するとマネージャーはこう答える。「カスタマーサービスの能力がある従業員が、顧客に対して、いまは答えがわからないが、すぐに調べると約束する。さらに、調べる時間を待ってくれる顧客に対して感謝を伝える」

・ステップ3:マネージャーに対して「あなたの会社の特に優秀な従業員なら、そのような状況にどう対処するか。彼らは、どんなことをするから優秀だといえるのか」と問う。おそらくマネージャーはこう答えるだろう。「本当に優秀な従業員は、待ってくれる顧客に感謝するだけでなく、『それは本当に重要な質問です』といった言葉で顧客に敬意を表す。さらにその後、顧客から受けた難しい質問について、丸ごと私に報告してくれるので、隠れた問題も含めて、根本的な問題の解決にチームで取り組むことができる」

・ステップ4:「要改善」「良い」「すばらしい」を区別することをマネージャーに促したところで、そこで得られたインサイトを次のように整理してみよう。

現場の従業員の立場で考えてみると、自分が良い仕事をしているのか、それともすばらしい仕事をしているのか、簡単に判断できることがわかってもらえるだろう。もし筆者がこのワード・ピクチャーを与えられた従業員なら、自分のパフォーマンスを簡単に評価(そして改善)することができる。

マネージャーの視点に立てば、従業員にすばらしい仕事とは何かを教えることがいかに簡単か、おわかりいただけるだろう。「要改善」「良い」「すばらしい」の違いを明確に定義できたのだから、それを従業員に教えるのは非常に簡単だ。

もちろん、このリーダーシップトレーニングの要点は、それらの厳密な違いについて、マネージャーに深く考察させるところだ。彼らは「良い」「すばらしい」の違いを直感的には理解しているが、それを従業員の指導に使えるほど明確に定義できていることは少ない。

コミュニケーション、説明責任、チームワーク、カスタマーサービスなど、さまざまな要素に関して「良い」と「すばらしい」の違いを定義すれば、マネージャーは、良い従業員に対して、すばらしい従業員になる方法を教えられるようになる。

少し角度を変えたこのリーダー育成のアプローチは、リーダーの立場にある人々を、現代の組織が切実に必要とする優れたコーチや教師に変える上で、深く永続的な効果をもたらすものになるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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