起業家

2023.07.06 09:30

「コンプライアンス」のユニコーンVantaを生んだ女性起業家

Vantaのアイデアが生まれたのは、その時だった。カシオッポは、Dropboxの顧客に新たなプロダクトのを使ってもらおうと思ったが、そこでハードルとなったのがDropboxの顧客が署名したセキュリティのコンプライアンス契約だった。彼女は法務チームと協力してその詳細を学んだが、それがいかに面倒で、手作業で、ミスを犯しやすいプロセスであるかを知った。

強みは「未知の世界に飛び込む能力」

カシオッポは2016年にDropboxを辞め、今は会社を去ったソフトウェアエンジニアのエリック・ゴールドマンとVantaを立ち上げた。2人はまず、セキュリティの専門家と十分に話し合い、自分たちのビジネスが確立するまでコードを書くのを待ったという。多くの人々と話した後、彼らは自動化されたソリューションの必要性に気づいた。

創業当初のVantaは、それぞれの顧客のための製品を作ってセキュリティコンサルタントの役割を果たし、Yコンビネーターからの50万ドルとシード資金の300万ドルという比較的少額の資金で運営を行った。同社の年間経常収益は、2021年5月に5000万ドルを調達する前に、1000万ドルを突破していた。

Vantaの共同創業者のゴールドマンとエンジニアリング責任者のスピッツらは、カシオッポの最大の強みについて、コンピュータサイエンスやセキュリティのバックグラウンドがないにも関わらず、コードを書き、企業顧客向けの価格設定モデルを考案するなど、未知の世界に飛び込んでいく能力だと指摘した。

カシオッポは時折エンジェル投資も行っている。彼女はVantaを設立する前の2016年にチームコラボレーションツールのNotionを支援した(その後Notionは、Vantaの最初の顧客の1社になった)。

彼女はまた、ソフトウェア会社の女性創業者として社会に変化を起こしたいとも考えている。

「私がここで一番伝えたいことは、もっと多くの女性がSaaS企業を立ち上げるべきだということです。私たちは長い道のりを歩んできましたが、まだ平等にはほど遠いのです」とカシオッポは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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