オランダ企業に学ぶ「D&I」の実践と仕組み作り

Shutterstock.com

世界経済フォーラムが発表した最新のジェンダーギャップ指数では、日本は世界125位となり、過去最低の結果となった。男女の賃金格差、管理職職業従事者の男女比などを筆頭に、ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)の推進に向けては課題が多い。

発表から数日後の6月某日、駐日オランダ王国大使館に“働き方先進国”と呼ばれるオランダ企業の日本法人が集まり、各社の日本におけるD&Iポリシー、ガイドライン、施策のベストプラクティスなどを共有するラウンドテーブルが行われた。またD&Iに関するベストプラクティスを持つ日系の中小企業も参加した。

企業サイズに関わらず、複数社に共通するプラクティスをまとめると下記のようにまとめられる。自社の取り組みはどうか。仕組みの構築や見直しの指針となるはずだ。

1. D&Iポリシーがある
2. D&Iがビジネス戦略と同じレベルで戦略化されている
3. D&Iの目標がクリアにされている
4. D&Iを推進する担当・チームがある
5. D&Iを推進する社員による自発的なコミュニティがある
6. D&Iの考え方が評価、給与、人材開発、採用などの人事施策に紐づけられている

・D&Iポリシーがある

筆者が務める人材サービス大手ランスタッドでは、多様性、公平性、格差の是正、違いの尊重、カルチャー作り等をポリシーの中で宣言し、誰もが理解しやすい言葉で、D&Iの重要性を説明している。ポリシーの存在自体が、D&Iへのコミットメントを定義しており、ポリシーがHPに載っている、社内研修で共有されているなど、様々な方法でコミュニケーションされている。

・D&Iがビジネス戦略レベルで戦略化されている

D&Iの取り組みに戦略があること、そしてその戦略の位置づけが重要なレベルに設定されていることも数社に共通していた。位置づけとしては、事業戦略と同じレベル、事業戦略を支えるものなどいくつかのパターンが見られるが、あると尚良いというレベルではなく、“必須なもの”として位置づけられている。

・D&Iの目標がクリアにされている

社員の男女比率、女性の管理職比率、障がい者採用比率、エンゲージメント指数など、D&Iに関わる現状が視える化されており、各項目における目標値がクリアになっている。また目標に対するタイムラインもきちんとひかれており、進んでいる企業は、経営陣のコミットメントが強い。
次ページ > 担当者は自発的か?

文=西野雄介

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事