ソースの役割は引き継ぐことができます。その際に最も重要なことは、そのイニシアチブにおけるいちばん深い価値観とのつながりを持てる後継者に託すことです。これはCEOという肩書を引き継ぐことや、株式を譲渡することとは全く違うプロセスです。
山田:後半では、個人のアイデンティの統合に関しても書かれています。
ニクソン:ソースを担う人は、次のステップを踏み出すために、時には自分が不安になるようなことや、汚いとさえ感じるようなことをしなければならないかもしれません。ピーター・カーニックが、私たちの人格をミラーボールに例えています。ミラーボールのそれぞれの小さな鏡は、自身の中の異なる性格や異なる在り方を表しています。ある1つの個性が強く光っている時、その裏側には常にその反対の個性が影として存在します。
たとえば、積極的な人格の反対側には内向的な人格がいるように。自分を積極的な人間であると認識している人は、自身の内向性を認めるのに抵抗を感じたり、苦労したりする場合があります。ソースにとって大切な内なる旅とは、これらの両極性を取り戻し、いままでふたをしてきた自分の認めたくない影となっている部分に光を照らすことです。
山田:最後に、社会での立ち位置にかかわらず、深い創造性を取り戻し、よりよい人生を送りたいと思っている人に、アドバイスはありますか?
ニクソン:最初のステップは、会社や仕事については忘れて、自分の内側に集中し、自分自身に、この世界で自分がすべきことは何だと感じているか?私は何をいちばん大切に思っているのだろうか?と問いかけることです。日本には文化的に集団主義が色濃いようですが、それが強みにもなってきたのではないでしょうか。
集団主義を捨てるのではなく、それと同時に個人主義も生かすことが必要です。私たちが目指しているのは、単に無難な妥協点を見つけるのではなく、その両端を認めることです。会社勤めをしている人は、会社からいったん離れ、自分自身の魂に、“自分は世の中で何をすることに最も惹かれているのか ”と問いかける機会を与えてあげてください。