1991年にアメリカ版ニューズウィーク誌に「世界で最も先進的な乳幼児教育」として取り上げられたことで世界中にその名が広まりました。Googleやディズニーなどの企業付属幼稚園でも取り入れられていることで、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
毎年イタリアで行われている教育者向けのスタディツアーには現在世界中から視察が相次いでいて、1年先の視察ツアーの予約がようやくとれるような状況だそう。
なぜレッジョ・エミリア・アプローチが今そんなに注目を集めているか、有名なモンテッソーリ教育など他の幼児教育法と何が違うかなど気になるところですよね。
そんなレッジョ・エミリア・アプローチを深堀りすべく、レッジョ・エミリア・アプローチの国際ネットワークにおける、日本で唯一の加盟法人である「まちの研究所」にお話を伺ってみました。
また、レッジョ・エミリア・アプローチと旅を掛け合わせ、宿泊中にレッジョ・エミリア・アプローチを体験できるアトリエを併設した「星野リゾート リゾナーレ大阪」の取り組みもご紹介いたします。
有名な「モンテッソーリ教育」とはどこが違う?
日本で最も知名度の高い「モンテッソーリ教育」については、筆者も何冊か書籍を読んだり、実際に日々の子育てに取り入れようと試みたことがあります。モンテッソーリ教育では使用する教具や使い方がしっかりと決まっていて、子どもの活動を『お仕事』と呼ぶのが印象的でした。一般的に自主性や集中力が育まれると言われている幼児教育法です。
一方で、レッジョ・エミリア・アプローチは子どもの創造力やコミュニケーション能力を育むと言われているアプローチ。
子ども一人ひとりの気づきや興味に注目し、次の学びへと展開していくため、決められたマニュアルや教具がないのが特徴。「子供は生まれながらにクリエイティブ」という考えが根底にあり、素材やコミュニティとの関わりから、子どもたちが自ら探究し、主体的に表現することをサポートすることに重きを置いていると言います。
筆者が面白いと思ったのが、レッジョ・エミリア・アプローチは決められたメソッドやカリキュラムがあるわけではなく、その国や地域、学校などがそれぞれの地域性や文化、個性に合わせて発展させていくという話。
また、モンテッソーリ教育は医師で教育家のマリア・モンテッソーリ博士の名前、シュタイナー教育は哲学者であるルドルフ・シュタイナー博士の名前と、乳幼児教育は考案者の名前が付けられることが多いですが、レッジョ・エミリア・アプローチは、その名に「レッジョ・エミリア」という市(地域)の名前が入っているように、コミュニティによって形作られた教育であり、コミュニティの参加を大切にしているという点も興味深い点です。