経営・戦略

2023.06.28 10:00

中小企業の「人的資本経営」を因数分解 社員の幸せは、会社の成長に

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ニックネームで呼び合う。SNSを活用した日報のオープン化


社員が社長に意見するのは壁が高いとされています。しかし、友安製作所(大阪府八尾市)はそんな壁を乗り越え、社員から積極的に意見やアイディアを言えるフラットな環境づくりのため、年齢・役職を問わず、互いに愛称で呼び合う「ニックネーム制度」を2014年から導入しています(会長はDon、社長はBoss、社員はWill、 Tommy、Wendy、Geneなど)。
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ニックネームを「義務付ける」と同時に、役職呼びを「禁止」したことで、入社して間もない人でも、互いに親しみを感じやすい環境を構築。自然と社員間で仲良くなったり、上下の垣根が減ったと感じる機会が増え、新人社員も中途社員もすぐに同社にon-boardingしやすい状況に変わっていきました。

また、併せて全社員の業務日報のオープン化を推進。SNS(Workplace by facebook)を活用し、全部署の日報を、全社員がいつでも・自由に閲覧できるような環境を整えました。これによって、部署を超えて、従業員同士がお互いの業務を知ることができ、さらに、仕事の中身が分かることで、自然と協力しやすいきっかけを促すことにつながっています。

気軽に社員同士でエンカレッジ(いいねやコメント)することで、ひとりひとりのモチベーションアップにも大きく貢献しています。

木村石鹸の「未来費用」という捉え方


木村石鹸工業(大阪府八尾市)では、経費のなかで「広告宣伝費」「(社員への)教育研修費」、「コンサルティング費用」の3つの経費を「未来費用」として捉えています。言葉の通り、自社の未来を創るための費用(投資)として、財務諸表上の上記の費用を再定義。「未来への投資=時間という軸でのリスクヘッジ」になると考えました。
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再定義の効果として、「経営者、幹部のマインドセットが変わる」と、同社の木村社長は言います。

この3つの経費は短期的に費用対効果が見えづらいので、毎期のP/L上の利益を増やしていくことが大切だという価値観・評価軸のなかでは、効果がでにくい「費用」としてコストカットの対象とすることが正しい判断として捉えられてしまいがちです。

しかし、これらの費用を「未来費用」として考え方に再定義すると、この項目が減少していることは「自社の未来に対する投資ができていない」という意味になります。

結果として、会社の持続的な成長を志向する経営者・経営幹部にとっては、未来に対する投資が出来ていない事に対する心理的なプレッシャーとなり、逆説的に安定的な投資を続ける機運を高めることにつながっています。 

この調査をまとめた経済産業省近畿経済産業局 中小企業政策調査課 調査分析係長の沼本和輝さんは「このレポートは、ぜひ中堅・中小企業の社長はじめ社員の方々にも手に取って読んでほしいと思っています。

役所をはじめよくあるレポートや事例集は『(ホワイト企業で表彰されることの多い木村石鹸工業の)木村社長だからできるんでしょ』というように、自分ごとにするにはほど遠いものと思われてしまいがちです。

しかし、今回取材した企業もそれぞれ厳しい逆境の中、社員を中心とした経営を実直に行うことで成長を遂げられています。そんな企業が実際に取り組まれた具体的な行動を掲載していますし、その中には大きな投資をせずとも、誰でも考え方を一つ変えるだけで、明日から実践できることが書いてあります」と紹介しています。

(レポート詳細はこちら

構成・編集=椿ことね、督あかり

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