食&酒

2023.06.22

ペルーの「セントラル」が世界一に 塗り替えられる美食の地図

未来のガストロノミーの道標とも評される「世界のベストレストラン50」で、ラテンアメリカのレストランが初の快挙を成し遂げた。ペルー・リマにあるレストラン「セントラル」が世界一に輝いた。

6月20日(現地時間)にスペイン・バレンシア州の「レ・ザール・オペラハウス」で開催された授賞式には、シェフやメディアなど1000人以上が参加。この30年ほどで食や音楽、スポーツなど、多様な魅力を持つ観光都市となったバレンシアらしく、会場には生演奏が入るなど、華やかさが際立った。

「セントラル」オーナーシェフのヴィルヒリオ・マルティネス氏は、ステージに向かう最中、自身がペルーに戻るきっかけとなったペルー料理の父、ガストン・アクリオ氏と抱き合い、新しい美食の時代の幕開けを共に祝った。
「セントラル」オーナーシェフのヴィルヒリオ・マルティネス氏

「セントラル」オーナーシェフのヴィルヒリオ・マルティネス氏


「世界のベストレストラン50」は21回目を迎えるが、過去に世界一になった店を振り返ってみると、分子ガストロノミーで食の世界を変えた「エル・ブリ」や地域の個性を表現する「ノーマ」など、美食の地図を塗り替えた店が並ぶ。同時にそれらは、いずれも西欧諸国にあり、西欧の美意識を表現する店であったことにも気づく。

マルティネス氏は常々、「アンデスの山で育つ根菜や清浄なラグーンの水で育つ藻が、これまで贅沢とされてきたキャビアやフォアグラと同じような価値を持つ、それぞれの国の文化が輝く、西欧主導ではない、多様な価値観を美食の世界に浸透させたい」と語っていた。

こうして今年、全世界を代表するレストランとして、ペルーの美意識を表現する店が選ばれたことは、今後の美食の未来に対して、大きな意味を持っていると言えるだろう。

 マルティネス氏は「セントラル」を今のスタイルでスタートした際、「ペルーがスペインの植民地だったことから、近年まで自らの文化よりも、西洋の文化が優れているという考えが人々の間に根付いていた」ことで、集客に苦しみ、いかに地元の人たちに自国の文化の素晴らしさに気づいてもらうかが、重要な課題だと話していた。

そこで今回セントラルが世界一に選ばれたことは、ペルーのみならず、同じような歴史を持つ国の人々への後押しとなり、自らのルーツを探り、その文化を表現する食の潮流がより一層活性化すると予想される。

セントラルの受賞は「エル・ブジ」や「ノーマ」が果たしたような、食の世界の価値観を変える可能性がある、エポックメイキングな出来事だと感じた。
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文・写真(一部)=仲山今日子 協力:スペイン政府観光局

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