当社の代表取締役である丸川が大学時代、マレーシアに留学しており、東南アジアや中国でシェアリングエコノミーサービスが普及していることを知りました。当時、日本ではシェアサイクル、カーシェアが徐々に広がり始めた頃だったんです。
あらゆる遊休資産をインターネット上のマッチングプラットホームを介して他の人も利用できるシェアリングエコノミーサービスは、これから日本でも広がっていくと考えたのがアイカサ誕生の最初のきっかけです。
次に丸川が考えたのは、自分ならどのようなシェアリングエコノミーサービスが欲しいかという点でした。丸川自身、学生時代に雨に降られる度に傘を購入していたことがあり1本500~700円の傘代が非常にもったいない上、家にはビニール傘が何本も溜まってしまうことが悩みでもありました。
このような問題や悩みを解決したいと考え、傘のシェアリングサービス「アイカサ」が誕生しました。ちなみに傘のシェアリングサービスは、現在ではカナダ、ニューヨーク、ベルギー、シンガポールなどの海外でも広がりつつあります。
──「アイカサ」という名前にはどのような意味が込められているのでしょうか?
当社でレンタルしている傘には一本ごとにICチップが搭載されています。お客様がどのスポットで何時何分に借りて、何時何分にどの傘立てに返却したなどの情報が全て記録できる仕組みです。また、紛失・盗難の多いのも傘の課題のひとつだと思いますが、当社は全国の警察署と連携しているため、警察署に届いた場合は全て当社に返却されるようになっています。
また、レンタルしていた傘が紛失してしまった場合は利用者さまに追加料金がかからないようにもしています。このように当サービスを展開する上ではIT技術は欠かせないものという「ITの傘」意味、1本の傘をみんなでシェアする「相合傘」という意味、そしてシェアリングエコノミーの中で豊かなに暮らそうという想いである「愛」などを組み合わせて「アイカサ」と名付けました。
目指すはカーボンニュートラルの実現
──傘のシェアリングエコノミーを取り巻く現状の課題はどのようなところにあるとお考えですか?日本ではコンビニや駅のキオスクなどで安価な傘を気軽に買えるため、傘は買って使い捨てるものという意識(文化)が日本に根付いてしまったように思います。その結果、今日本は「傘の廃棄率ワースト1位」という不名誉なレッテルを貼られてしまいました。
レジ袋をはじめとしたプラスティック製品については、日本でも規制がはじまり、プラスティック製品を捨てることは環境に良くないという認識が広まりつつあります。
プラスティック製品のように意識が変わるまでには時間がかかるかもしれません。しかし傘も使い捨てるのは環境に良くないという意識を広めていかなくてはいけないと思っています。その意識が浸透していけば傘のシェアリングエコノミー「アイカサ」も広まっていくでしょう。