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2023.07.03 09:00

スマ留「逆転発想」で過去最高売上、語学学校のスキマ時間利用

石井節子
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コロナ禍や円安を逆手に取り、過去最高売上更新



 
───国が留学を推奨する一方で、留学を取り囲む課題感は何かありますか?

直近でいうと新型コロナウィルスの影響によって、今までのように一定期間の留学準備をすれば、留学ができるという世界ではなくなりました。また昨今の世界情勢による、円安も留学のハードルを上げている課題ですね。

このような影響によって、宿泊先が激減してしまったり、渡航制限がかかってしまったり、提携先の語学学校が倒産してしまったり…さまざまな問題が発生しました。

───パンデミックや災害などは不可抗力の要素ですよね。

そうですね…確かに世界的なパンデミックにより発生した課題もたくさんあるのですが、経営層としては、ポジティブに捉えています。弊社は2022年7月に第8期目が終わりましたが、過去最高の利益が生まれました。

───円安や渡航制限がかかる中で、どのように利益を出したのでしょうか?

利益を出せたのは、サービス利用者の方々のニーズの変化が大きいですね。留学ではなく、ワーキングホリデー(以下:ワーホリ)のために渡航する方が増えました。円安の影響で日本ではなくて、海外でお金を稼ぐ人が少しずつ増えていきている印象があります。このような背景もあり、ワーホリのプランがプラスに働いたんです。

弊社では、日本に滞在している段階で、事前に現地の企業と面接してもらい、採用が決まれば渡航した次の日からすぐに働けるプランを設けました。

───留学ではなくて、ワーホリ需要にアプローチしたんですね。


 
おっしゃる通りです。また先程もお話しましたが、弊社の留学プランはすべて日本円での販売です。会社経営としては、日本円での販売は多少リスクが発生しますが、ドル高が続くと留学資金も上がってしまい、留学に行きたくてもいけなくなってしまう人が増えてしまうと思ったんです…そのため、あくまでもスマ留では、日本円での商品を販売しました。その結果、多少の値上げはしたものの、価格優位性という面でもポジティブに働きましたね。

スマ留を通して、留学エージェントのボトムアップを図り、市場を活性化させる。

───今後5年後、10年後で、留学はどのように進化・発展していくでしょうか?



私たちも5年・10年後に留学を取り囲む状況がどのように変化しているのかは、イメージがつきません。ですが留学業界全体を盛り上げることが、重要だと考えています。

コロナ禍に入る前の2019年の段階で、日本人留学生の留学人数は、約15万人しかいないんです。そして、留学マーケットは200億円から300億円程度しかありません。

そのために私は、3年以内に留学エージェント業界のあり方自体を変えたいと思っています。

───留学エージェント業界を変えるためのお取り組みなどは何かありますか?


新しい取り組みとしては業界初となる「warple」というサービスをリリースする予定です。

warpleは、カウンセリング、留学先の選定、留学プラン、留学期間、飛行機の手配、VISAサポート、宿泊先の検索、支払い、事務手続きなどをすべてオンラインで完結するサービスです。

弊社とお客様とのやりとりも、オンラインですべて完結します──つまり留学のすべてがwarple一つで完結することになります。

オンラインで完結することで、人件費を抑えられるので、結果的に、留学費用を安くすることができます。その結果、お客様の費用の負担を今まで以上に軽減することが可能です。またwarpleは、ポイント還元ができるので、溜まったポイントを利用して留学費用を補填できるのも特徴ですね。

▲利用者はポイントを還元することで、留学費用を抑えることも可能

───なるほど。今後の留学業界に、革命をもたらすかもしれませんね。


ありがとうございます! 先程、留学エージェントのあり方を変えたいとお伝えしましたが、弊社はもちろん留学エージェントであり、労働収益型のビジネスモデルです。つまり、一人で生み出せる生産性の限界があります。

弊社の社員のメンバーは、みんな留学経験があり、留学で体験した素晴らしい経験や体験を多くの人に知ってほしいと思って入社してくれています。

ですが、留学エージェント業界は、労働収益型のビジネスモデルのため、夢や目標があって入社しても給料が上がりにくい産業構造になっているんです… このような体制では、留学の仕事に関わっているのに留学に対してネガティブな感情を抱きかねません。

そのため、warpleを通して、オンラインサイトで服や日用品を購入するのと変わらない感覚で、留学のすべてをオンラインで購入できる世界観を世界規模で実現していきたいですね。その結果、留学費用が安くなり、多くの人が留学できる世の中になると思っています。
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文=新井那知

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