宇宙

2023.06.21 14:00

「暗黒宇宙」解明に挑む、欧州の宇宙望遠鏡ユークリッド

 ユークリッド・ミッションの想像図(ESA)

しかし1990年代終わり頃、理論物理学者たちはアインシュタインの宇宙定数を、量子力学で真空エネルギーとして知られる斥力、時空そのものに組み込まれた背景エネルギーとして復活させた。それは1997年と1998年に、2組のノーベル賞受賞チームが、ビッグバンの50~70億年後に説明のつかない膨張の加速が起きていると断定した時だった。
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現代の理論家は、宇宙定数をダークエネルギーの背後にある力を説明するためのその場しのぎの修正のようなものと捉えている。確かにそれは、ダークエネルギーの物理的性質を深く理解するまでの一時的な解決策にすぎないように見える。あるいは、宇宙には時空の構造の中に真空エネルギーが実際に存在し、それが何らかの方法で加速を引き起こしているのかもしれない。しかしなぜ、ダークエネルギーの加速力はビッグバンから50~70億年後になってから発動したのか?

宇宙定数の値はどうやって計算するのか?

この値は、今日の宇宙にダークエネルギーがどれだけ存在すべきか、宇宙定数の大きさはどうあるべきかを説明するために測定されるものだと、オスロ大学の理論物理学者でユークリッド科学コンソーシアムのメンバーであるデビッド・モタはいう。粒子物理学に基づいて計算した値と、天文学的観測による値との間には大きな隔たりがあるという。計算すると、真空中のこのエネルギーは観測によって測定した値より120倍も大きくなると彼は指摘した。

最大のパズルはどのダーク理論か?

「私はダークエネルギーに賭けます、なぜならわかっていることはダークマターよりも少ないですが、宇宙のより大きな構成要素だからです」とローズはいう。「はるか遠い昔、ダークエネルギーは取るに足らないほど小さな構成要素でした」

しかし未来は、ダークエネルギーが支配し、ダークマターはずっと小さな構成要素になるとローズは述べ、ダークエネルギーの性質は、宇宙の運命をも決めると指摘した。

モタはさらに踏み込んで、現在私たちが理解している宇宙を定義するために使用されている理論はすべて間違っている可能性が高いと断言している。
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科学はニュートンから、アインシュタインそして時空の歪みへと進んだ。しかし今から100万年後、人類が進化して、異なる種類の数学や物理の理論を受け入れていることを期待している。しかし現段階では、ごく小さな一歩を進んでいるだけだとモタはいう。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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