ふたご座流星群は、小惑星ファエトン(Phaethon 3200)に起因する唯一の年周流星群(毎年やってくる流星群)として知られる。ファエトンは、太陽を524日かけて周回する直径約5kmの地球近傍小惑星で、1983年に米航空宇宙局(NASA)、オランダ、英国が共同開発した赤外線天文衛星(IRAS、アイラス)が発見した。太陽のすぐそばまで近づくことから、ギリシャ神話の太陽神アポロンの息子ファエトン(パエトンとも)に因んで命名された。
謎の流星物質
流星群の大半は、岩石や氷のかたまりである彗星が、太陽に近づいた時に溶け、岩の破片を残すことによって生じる。これは流星物質流と呼ばれるが、岩石と金属からできている小惑星が流星物質流を生み出す仕組みについては、これまではっきりしていなかった。科学誌「Planetary Science Journal」で15日に発表された論文では、現在太陽を調査中のNASA探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が2018年から2021年の間に少なくとも9回にわたりファエトンのダストトレイルの中を通過した際のデータを分析した。
論文の共著者である米プリンストン大学宇宙物理学研究所の研究員、ジェイミー・ザレイは「奇妙なことに、ファエトンは小惑星であるにもかかわらず、太陽の近くを飛ぶ時に、温度に起因する何らかの活動が生じているとみられる。小惑星の大半は、そうした活動は起きない」と話している。
「激しい生成」
探査機のデータからは、このダストトレイルが正確にはファエトンの軌道に沿っていないことが示された。論文の主著者で、プリンストン大学学部生のウルフ・スキアーは「この物質流は、太陽に最も近づいた時、親天体よりわずかに外側の軌道を周回している。これは、一見しただけでは分からない」と説明している。研究チームは、小惑星や彗星がどうやってこの流星物質流を引き起こしたのかについて、複数の仮説を検証。最終的に、「violent creation(激しい生成)」という説が最も可能性が高いとの結論に至った。
それは、ファエトンが別の天体との高速衝突あるいはガス爆発といった突然の激しい事象に見舞われ、内太陽系に流星物質流を残したというものだ。
ふたご座流星群は、ふたご座付近を放射点とし、夜空のさまざまな場所に出現する流星群だ。
(forbes.com 原文)