そしてコロナ禍も落ち着き、今年5月のモンゴル人ラッパーたちの東京公演ラッシュになったという。
どうしてこんなことが起きたのか。大西さんが語る。
「日本に住むモンゴルの人たちにとって、毎年ゴールデンウィ―クに東京・練馬区の光が丘公園で開催されるモンゴル春祭りの『ハワリンバヤル』は大切なイベントです。
今年はモンゴル料理の出店だけで36店もありました。横綱をはじめモンゴル人力士も多数参加し、昨年モンゴルでブームを巻き起こした沖縄出身「CHAKA LAND」のチャカトモさんが飛び入りで参加するなど、大いににぎわいました。
昨年11月に来日したモンゴル人ラッパーのDESANTのほか、Erka Digital(エルカデジタル)、ThunderZ(タンデルZ)、Young Mo’G(ヤングモージー)らもこの祭りに招聘され、ステージに上がりました。さらに彼らはその夜、2日間かけて六本木の『SEL OCTAGON TOKYO』でライブ出演したのです」
驚いたのは、同じ日に都内でライブをやったのは彼らだけではなかったことだ。この機に合わせて、モンゴルから他にも大物アーティストたちが大挙して来日し、代官山の「ユニット」や渋谷の「TK NIGHT CLUB」、銀座の「DisGOONieS」で、彼らが出演するヒップホップイベントが目白押しとなったのだった。
大西さんは、4月下旬頃、これらのライブ情報を在日モンゴル人たちのSNS発信で知ることになったという。
在日モンゴル人の数は約1万5000人といわれているが、モンゴル人が特によく使うのはFacebookで、小学生から高齢者まで多くの人がアカウントを持っているという。そこには在日モンゴル人のコミュニティやアーティストたちのページもあり、ライブ情報も飛び交っているというのだ。
こうしてモンゴルの人気ラッパーたちの来日の噂はすぐに拡散され、ゴールデンウィークの都内のライブハウスにモンゴルの人たちが集結したというわけだ。