宇宙

2023.06.10 10:00

NASA探査機が太陽に大接近、太陽風の起源を観測

研究チームはコロナホールをシャワーヘッドになぞらえた。太陽から放たれる高エネルギー粒子が、シャワーヘッドのように均等に並べられた穴から噴流となって飛び出していく。

太陽極大期

太陽探査機パーカーは、意味のある情報を得るためには太陽周期の中で早く打ち上げられすぎたのではないかと考える向きもある。太陽には約11年の黒点周期があり、その間、太陽極小期(最後は2019年)から太陽極大期に向かって活発になっていく。後者は多くの黒点が現れ、太陽フレアの頻度が高まることが特徴で、2024から2025年にかけてやってくる。

コロナホールは太陽極小期に太陽の極圏でのみ発達するが、太陽極大期前後の数年には、太陽の磁場が反転し、表面全体にコロナホールが出現する。その結果は地球にも影響を与え、強い太陽風を浴び、その結果磁気嵐の頻度が高くなる。

「太陽探査ミッションが始まった頃、自分たちは太陽周期の最も静かで最も活動の鈍い時期に探査機を送り込むことになるのではと不安になることもありました」とカリフォルニア大学バークレー校物理学教授のスチュワート・D・ベールはいう。「しかし、やらなければ理解することはできなかったでしょう。とても厄介なことになっていたはずです。太陽極小期に打ち上げたことは私たちにとって幸運だったと思っています」

太陽探査機の旅

NASAの太陽探査機パーカー・ソーラー・プローブは、2023年3月17日に15回目(全24回)の太陽フライバイを完了し、時速36万4619マイル(約61万6000km)で移動しながら、表面から530万マイル(約900万km)以内に接近した。次回のフライバイは2023年6月22日の予定で、そのときも530万マイル以内に到達する。

太陽極大期に入ろうしている今、太陽の活動はいっそう無秩序になり、特定の過程を正確に観測することは困難になるかもしれないが、2024年と2025年にパーカーは3回の最大接近フライバイを太陽からわずか420万マイル(710万km)の距離で行う予定だ。それは測定機器が溶ける限界だ。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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