太陽風は一進一退を繰り返す、現時点で予測不可能な事象だが、私たちの高度な技術社会は、100年に一度の「ブラックスワン現象」である強力な太陽嵐に対してますます脆弱になっており、予測への取り組みはかつてないほど重要なものになっている。
太陽嵐は衛星、インターネット回線、長距離送電線、変圧器といった多くのテクノロジーを破壊する可能性をもっている。
この問題に取り組んでいるNASAと太陽物理学者たちは、つい最近、画期的な発見をした。
宇宙の天気を予測する理論を研究するということは、太陽風がどこから来て、どうやって生まれたのかを突き止めることを意味している。NASAの太陽探査機パーカー・ソーラー・プローブは、太陽風を構成する高エネルギー粒子の起源を見つけるために、2018年8月12日に打ち上げられた。
Natureに掲載された最新論文は、太陽表面から130万マイル(約220万km)まで接近したフライバイの詳細を報告している。同探査機は太陽風が生まれた太陽表面の近くで、その微細構造を検出することに成功した。
太陽風を予測する
「太陽風の背後にある仕組みを理解することは、地球における実用的な理由のために重要です」とメリーランド大学カレッジパーク校のジェームズ・ドレイクはいう。「それは太陽がどのようにエネルギーを放出し、通信ネットワークの脅威となる磁気嵐をどうやって起こすのかを、私たちが理解する能力に影響を与えるはずです」今回のフライバイで、パーカーは太陽物理学者たちがコロナホールと呼ぶものの中で起きている現象と一致する高エネルギー粒子の流れを検出した。コロナホールとは開いた磁場線が外に向かって伸びている太陽の外圏大気中の低温で密度の低い領域だ。高エネルギー粒子の流れは、太陽風の起源がコロナホールにあることを示唆している。